1 「なに?そうだなぁ……」 口走ってみたものの、何も考えてない。 俺はしばらく考える。 そして俺はひとつ思いついた。 「ラーメン屋」 「?」 「あのラーメン屋に行きたい。」 千尋が少し不思議そうな顔をする。 それもそうだろう、千尋には何も話してない。 「あー……えっと、あの人につれていってもらったことがあるんだよ。ラーメン屋に。そこにさ、行きたいなって」 連れていってもらった? 連れていったに近い気もするけれど。 「私とですか?」 「そ。」 「そのような場所に……私が」 「友達でしょ?慰めてよ。」 「慰め……どうしてそれが慰めることになるんです……?」 千尋は困ってる。 本当はそんなことしちゃダメだからだろうな。 でも俺がいいと言ってるんだから、いいのに。 「すごく楽しかったんだ。話も弾んでね……。 」 美味しかったな、ラーメン。 ラーメンは美味しかったし……なにより、初めて早川さんと外で一緒に行動したことが嬉しくて……。 俺の幸せな記憶の一つだ。 「でも、思い出すと辛いんだ。またしたいまたしたいって思っちゃって、だから……千尋で塗り替えたい」 「私はただの友人なのに塗り替えられますか?」 「早川さんとの場所だけじゃないものにするんだ。そうしたら気がまぎれそうな気がしない?」 「……どうでしょう」 千尋は少し納得の行かない、という表情をしている。 けれど、しばらくするとコクッとうなずいた。 「私は隼也様の執事です。私で出来ることならなんなりと致しましょう。」 「あ、はは!固いよ!そんな固くならなくていいよ。ほんとにさ、友達と行くみたいに」 「それはなりません」 「なんなの……また話が振り出しに戻ってるじゃん。じゃなきゃいやだよ……。……明日はちょっと気乗りしないから日曜!日曜に行こう!」 「承知しました。ラーメンちゃんと食べてくださいね」 「もちろんだよ。ありがとう千尋」 |