5 真っ暗の部屋。 電気もつけずにそのままベッドにダイブした。 考えることがありすぎてしんどい。 このまま現実逃避してしまいたいけれど、今は何を見てもすべてが早川さんにつながってしまう。 それほどまでに俺にとっての早川さんは大きい。 会いたい。 会いたくない。 考えたい、考えたくない。 最近はずっとそれの繰り返しだ。 前はあんなにも早川さんに会えるのが楽しみだったのに。 恋というのはこんなにも苦しいものなんだろうか。 それならどうして人は恋をするんだろうか。 途方もなく意味のわからないとこまで考えて、意味がわからなくなって布団を頭からかぶる。 いつものルートだ。 空調の効いた部屋で、1人「あーあ」とごちて寝返りを打った。 どうしたらこの悩みから解放されるんだろう。 そんなの回答は一つだ。 あの人を好きになるのをやめればいい。 でもそんな簡単なことじゃない。 好きになるのは簡単だけど、好きになった人を嫌いになるのは相当難しいと思う。 だって俺は、両親や兄すらも嫌いじゃないから。 コンコン、と部屋をノックする音がする。 その音を聞いて、俺はまた寝返りを打った。 また千尋だろうか。 ……飯をたべろと言いに来たんだろうか。 お腹空いてないし、食べたいとも思わないのに。 なんだか悩みを食べているようだと思った。 悩みはまずいくせに少しでお腹いっぱいになる。 「隼也様、入りますよ」 何も応えずにいたら、間もなく入口がガチャと音を立てて外の灯が中に流れ込む。 「また電気もつけずに……つけますよ。」 「……千尋。」 |