4 「千尋が……作ってくれるの?」 「えっ」 ドアのノブに手をかけて、千尋をのぞき込む。 千尋は少し驚いたような顔をしてから、「しゅ、隼也様がそれをお望みならば」そう小さい声で言った。 「え?千尋ってご飯作れたの?」 「えと……すこし……ですが」 「へぇえ……おいしい?」 「そんなことを私に聞かれても困ります……。でも私は美味しいと……思います。」 「ずいぶん自信があるんだね。結構千尋って自分でハードルを上げてくタイプ?」 「なっ!!!それは隼也様が!」 「俺が、なに?」 にやにやと笑ってみれば、千尋が「やられた!」とでも言うように恨めしそうな顔をする。 「いじめ……る、から」 「俺がいついじめたっていうんだよ?酷いなー千尋ちゃんは」 「千尋ちゃんはやめて下さいって!!」 「あはは、てことで。風呂は明日にでも入るから。ごめんね千尋」 興奮し始めた千尋から持たせていた鞄を取り返すと、俺はノブを捻った。 そしてドアを開けると、そのまま中に入って千尋に手を振る。 少しびっくりしたような顔をして、それから「あっ」というような顔をした千尋。 そんな千尋を鼻で笑った俺は、そのままドアを閉めた。 |