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「気持ちよかったか?」


脇にあるティッシュで後処理をしていたら、志乃さんが「よいしょ」と起き上がった。


「気持ちいいですよ……」

「なんでちょっと不満気なんだよ……」

「志乃さんは?志乃さんは気持ちよかった?」

「は?俺?」


腰を2、3度叩いた志乃さんが、俺を見つめて目を見開く。


「はは、たりめーだろ。ヨかったぜ、ハル」

「本当かなぁ……」

「ほんとほんと。なんだ、ハルはそんなに俺を気持ちよくさせてないと思ってんのか?何回もイったろ?」


たしかに……そうだけど……。
だってあんな顔するんだもん。
あんな事考えてる余裕があるってことでしょ?
それならそんなに気持ちよくさせれてないのかなって……。


「んん、1番きもちいいです?」

「んー?」

「だから、俺が一番気持ちいいかなって……」

「んだよお前、他のやつのこと言うなって言うくせに……」

「ねぇ、どうなんですか……」


放り投げていた下着を身につけた志乃さん。
そのタイミングで俺は志乃さんの腰を引き寄せた。


「う、……わ、もう、びっくりするだろ」


突然のことで少しバランスを崩した志乃さんの体が、俺の胸に収まる。
俺の体ですっぽり包み込めるようなちっさい体。


「志乃さん……」


そのままぎゅうう、と抱きしめる。
すると志乃さんが、「くぅ……」と鳴き声みたいな声を出すから、可愛くてさらに抱きしめる。


「かわいい」

「嬉しくないっつーの……強く抱きしめすぎだバカ。」

「嬉しそうな顔して何言ってるんですか。」


確かにその顔は嬉しそうというか、気を張っているような顔じゃなくて、いとおしさに頬ずりをした。
やわらかい。


「髭、いてえ」

「剃ったよ?」

「剛毛なんじゃねえの」

「やめてよ……」


あぁ、これが永遠に続けばいいのに。
志乃さんが笑いながら、俺の胸にコテンッと頭をあずけてくる。
あー……ほんと、この人が俺だけのものならいいのに……。