4 「気持ちよかったか?」 脇にあるティッシュで後処理をしていたら、志乃さんが「よいしょ」と起き上がった。 「気持ちいいですよ……」 「なんでちょっと不満気なんだよ……」 「志乃さんは?志乃さんは気持ちよかった?」 「は?俺?」 腰を2、3度叩いた志乃さんが、俺を見つめて目を見開く。 「はは、たりめーだろ。ヨかったぜ、ハル」 「本当かなぁ……」 「ほんとほんと。なんだ、ハルはそんなに俺を気持ちよくさせてないと思ってんのか?何回もイったろ?」 たしかに……そうだけど……。 だってあんな顔するんだもん。 あんな事考えてる余裕があるってことでしょ? それならそんなに気持ちよくさせれてないのかなって……。 「んん、1番きもちいいです?」 「んー?」 「だから、俺が一番気持ちいいかなって……」 「んだよお前、他のやつのこと言うなって言うくせに……」 「ねぇ、どうなんですか……」 放り投げていた下着を身につけた志乃さん。 そのタイミングで俺は志乃さんの腰を引き寄せた。 「う、……わ、もう、びっくりするだろ」 突然のことで少しバランスを崩した志乃さんの体が、俺の胸に収まる。 俺の体ですっぽり包み込めるようなちっさい体。 「志乃さん……」 そのままぎゅうう、と抱きしめる。 すると志乃さんが、「くぅ……」と鳴き声みたいな声を出すから、可愛くてさらに抱きしめる。 「かわいい」 「嬉しくないっつーの……強く抱きしめすぎだバカ。」 「嬉しそうな顔して何言ってるんですか。」 確かにその顔は嬉しそうというか、気を張っているような顔じゃなくて、いとおしさに頬ずりをした。 やわらかい。 「髭、いてえ」 「剃ったよ?」 「剛毛なんじゃねえの」 「やめてよ……」 あぁ、これが永遠に続けばいいのに。 志乃さんが笑いながら、俺の胸にコテンッと頭をあずけてくる。 あー……ほんと、この人が俺だけのものならいいのに……。 |