3 自分の体を、自分以外の体の一部によって犯されている。 それは、改めて感じるとすごいことなんじゃないかと感じる。 「はぁ……っ、志乃さん……志乃さんっ」 「あっ、んん、あっ……は、」 ゆっくり、出たり入ったりを繰り返すソレ。 そのゆっくりとした動きに、内壁が擦られる度ビクビクと体が震える。 生殖行為だ。 ハルの顔を見ながら、そう思う。 俺も、オンナに遺伝子を注ぎ込んでやろうと必死になっている時は、こんな顔をしているんだろうか。 必死で、目の前のオンナを、見つめている。 逃げ出さないように、視線で縛り付ける。 雁字搦めをされたように、動けない。 逃げ出そうと思ってもきっと逃げ出せない。 「志乃さん、好きですっ……」 「ぅ、っは、あっ、あぁ、あ!」 噛み付くように至るところキスをして、首筋へのキスはまるで、逃げたら殺すぞとでも言いたげな気がする。 好き、が今まで聞いた何よりも響いて、痛かった。 いつもなら笑い飛ばせるその言葉が、何十倍も重くなってのしかかってくる気がした。 ハルが言ってる調子はそんなに変わらないのに。 いつもなら、嬉しいありがとな。 それで終わりなのに、どうしてか言って欲しくないと思ってしまった。 こんなにも、生物の本来の営みを邪魔している感を感じるのは初めてだ。 のしかかってくる、正体不明の罪悪感。 「どうしたの、志乃さん気持ちよくない?」 腰は止めずに、ゆさゆさと俺を揺さぶりながら俺に問いかけるハル。 俺はゆるゆると首を振りながら、ハルの首にかけていた腕を床の上に投げた。 「んなわけ、すっげー……イイよ」 俺はセックスが好きじゃない。 裸になって、俺は本来感じるところじゃない場所で感じて、オンナと呼ばれて。 本来入れるべきでない場所にちんこ突っ込まれて、ナマの時はナカにぶちまけられる。 俺は妊娠はしないし、妊娠する要素も持ってない。 たとえどうでもいい人間でも、それをされるとなんだかいたたまれなくなる。 ハル、だったら尚更に、なぜか、 ごめん、と言いたくなってしまう。 「は、……あ、ハルちょっと抜け」 「抜く?」 「ん、抜いて」 ハルが怪訝そうな顔をする。 そして、ちゅぽっと抜けたそれを感じて俺はゴロンっと寝返りを打った。 |