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「行こうよ志乃さん。いついく?」

「はは、お前は俺の餌やり係か?懐かねーぞ?」


上から俺の顔を覗きこむハル。
完全に手の動きは止まってしまった。

ガルルっと声を出してみたら、ハルが少し目を見開いて「懐かないって……結構懐いてますけどね」と言った。

俺はまだそこまで餌付けされてない気がするんだが。



「それ何ですか?」

「何ってライオンだろ」

「え、迫力無い」

「ここで本気で迫力出してもドン引きだろ」

「今のはトラの赤ちゃんですよ」

「いやそれはないわ。」


赤ちゃんを撫でるみたいに頭を撫でられて、流石にそれは首を振って手で払った。
トラの赤ちゃんってなんだよ。
くっそ可愛いじゃねえかよ。


「あー……それで?前言ってたっけか、みつけたって」

「ラーメン屋、そうなんですよ。だから早く行きましょ」

「んぁー……っと……そうだなぁ。お前はいつがいいとかあんの?」

「俺は別にないですよ。志乃さんに合わせます。」

「いつがいいって言われてもなぁ……難しいよなぁ。なぁ、ハル?」

「なぁって言われても」


上を向いたらバチッと目が合って、そのまま唇が降りてくる。
ちゅ、ちゅ、と瞼に落とされて、俺はそのままハルの背中に凭れた。

背中からハルの心音が聞こえる。
トットットっと聞こえる。
早い。


「なぁハル」

「はい?」

「俺でエロい夢みたことねーの?」


その速さになんだかからかいたくなってしまって、俺はそのままニヤニヤしたままハルに問いかける。

正直夢の中でどうなってんのか気になるとこもあったりする。