5 「行こうよ志乃さん。いついく?」 「はは、お前は俺の餌やり係か?懐かねーぞ?」 上から俺の顔を覗きこむハル。 完全に手の動きは止まってしまった。 ガルルっと声を出してみたら、ハルが少し目を見開いて「懐かないって……結構懐いてますけどね」と言った。 俺はまだそこまで餌付けされてない気がするんだが。 「それ何ですか?」 「何ってライオンだろ」 「え、迫力無い」 「ここで本気で迫力出してもドン引きだろ」 「今のはトラの赤ちゃんですよ」 「いやそれはないわ。」 赤ちゃんを撫でるみたいに頭を撫でられて、流石にそれは首を振って手で払った。 トラの赤ちゃんってなんだよ。 くっそ可愛いじゃねえかよ。 「あー……それで?前言ってたっけか、みつけたって」 「ラーメン屋、そうなんですよ。だから早く行きましょ」 「んぁー……っと……そうだなぁ。お前はいつがいいとかあんの?」 「俺は別にないですよ。志乃さんに合わせます。」 「いつがいいって言われてもなぁ……難しいよなぁ。なぁ、ハル?」 「なぁって言われても」 上を向いたらバチッと目が合って、そのまま唇が降りてくる。 ちゅ、ちゅ、と瞼に落とされて、俺はそのままハルの背中に凭れた。 背中からハルの心音が聞こえる。 トットットっと聞こえる。 早い。 「なぁハル」 「はい?」 「俺でエロい夢みたことねーの?」 その速さになんだかからかいたくなってしまって、俺はそのままニヤニヤしたままハルに問いかける。 正直夢の中でどうなってんのか気になるとこもあったりする。 |