4 「はーー、もう。もう!照れるわお前!馬鹿!」 「ふふっかーわいーなー」 「あぁあもう!」 可愛い……。 久々の志乃さんに癒されながら、俺はその顔を見つめる。 「ねぇ志乃さん」 「あー?んだよもう。」 「拗ねないで下さいよ」 「別にすねてなんかねーよ」 「ふふ、嘘だ。唇尖ってる」 尖った唇に指を置くと、ふに……と形が変わって、志乃さんが少しだけ穏やかな表情になる。 その表情はまた、俺の奥底の男の部分に火をつけるもので、俺は見て見ぬふりをしてそっと手を離した。 「俺本当に志乃さんのこと好きです。今の志乃さんも好きだし、バンド活動してた時の志乃さんは尊敬してます。だから、バカにするなんてこと絶対にないのでもう疑わないでください。絶対しませんから、神に誓ってもいいです」 「そう簡単に神に誓っちゃダメなんだぜ?」 「誓いますよ。天変地異が起きてもこの事実は変わらないですもん。」 「天変地異ねぇ。ん、んー……うん。俺もさ、お前のことは信じてたよ」 志乃さんが俺の目を見る。 信じてた?どういうことだろう。 汗をかいたグラスの中身がコロンっと音を立てた。 「お前は、そういう意味で言ったんじゃねーって、ちょっと思ってた」 「え?!じゃあなんで?!」 「なんでって、そりゃ……話は長くなるけどよ。」 「えぇえええ?!そうなのーーー?!」 思わず頭を抱える。 なんで怒ったのかわからないけど、俺の言ってる真意は伝わってたんでしょ? どうしてあんなふうに傷ついた顔をしたの? 「それなら早く言ってよ志乃さん!!」 「あ?」 「俺このことでどれだけ悩んだと思ったの!」 「いや、知らんけど」 「すっごく悩んだんだからね?!それならそうと早く言ってくれれば俺もっと早く会いに来たのに!!志乃さんに嫌われたって思って!!連絡も取れなかったし……」 「……だってよー……あんなことがあった手前そんなん……言いにくいだろ……なんて言やいいんだよ」 「知らないよー……メール返してくれればよかったんだー……」 もう……嫌われてないならもっと早く会いにくれば良かった。 「もう、志乃さん……はぁ……良かった……」 |