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「俺が悪いだろ……勝手にキレた……し」


志乃さんが、もごもごと口を動かしながら言いにくそうに目を逸らす。
その顔を見ていたら、どこか俺は悪くない!って思ってた部分が急にしゅうっと萎んで行った。

そういう風に下手に出られると……困る。

だって……行っちゃえば俺が志乃さんのことよく知らずに、あんな事言ってしまったのが……悪いんだし。
その経緯がどうであれ、俺が志乃さんを傷つけたことには変わりない。

俺が悪い。


「志乃さん謝らないでください。俺が志乃さんのことよく知らずにあんな事言ったのが悪いんです。」

「う、でも、」


そうだ、俺謝りに来たんだった。
すぐ謝ろうと思ったのに、志乃さんに先に謝らせて……俺は何してるんだろう。
伝えたいこと、伝えなきゃ。


「志乃さん?聞いてください。」


きょとん、とする志乃さんの手を握って俺は志乃さんを見つめる。


「俺は別に、志乃さんを馬鹿にするとかそういう意味で言ったんじゃないです。全然そういうつもりじゃなかった。志乃さんが今の状態にコンプレックス抱えてるの知ってるのに、あんな事言ってほんと無神経でした。でも俺純粋にファンとして、志乃さんの歌が、いや、BLUEBUSTERのShinoの歌が聞きたくて言ったんです。」


早口で捲し立てるように言ったら、志乃さんが一瞬呆気に取られたような顔をした。
そしてすぐに、顔を赤く染めるとぱっと俺から目をそらした。

どうしたんだろう。
志乃さんの耳が真っ赤だ。