5 「頼まれたことはやっときましたよ。」 しばらく袋の中身を見ていたら、不意に隼也が声を出した。 思わず隼也を見たら、隼也はデスクの上を指さした。 たしかにそこには会議前に言いつけたことが、すべて完璧に仕上げられていた。 「作ったデータはどこに入れたらいいのかわかんないんで、一応デスクトップに保存しときました」 「……あー……ありがとう」 にこにことする隼也。 褒めて欲しいのだろうか。 ……そういうところは、可愛いんだよな……。 「隼也、助かったよ」 隼也の肩に手を置いてそう言ったら、隼也の肩が面白いほどビクンっと跳ねた。 いやいや、そんなに驚くことないだろ……。 そう思ったけど隼也は俺からすごい勢いで離れて、怯えた子犬のような顔をして俺を見つめる。 あれ?ちがった? 「早川さん!!急に触らないでよ!心臓に悪い!!」 「はぁ?お前だっていっつもだろ?」 「違いますよ!」 どうしてそんな剣幕? 隼也は小さい声でなにやらブツブツ言っている。 そして急にばっと顔を上げたと思ったら、俺をさっきよりもキラキラとした目で見つめる。 「早川さん」 「ん?」 「じゃあ、頑張った俺に御褒美ください」 「御褒美?なに、御褒美って」 |