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「頼まれたことはやっときましたよ。」


しばらく袋の中身を見ていたら、不意に隼也が声を出した。
思わず隼也を見たら、隼也はデスクの上を指さした。
たしかにそこには会議前に言いつけたことが、すべて完璧に仕上げられていた。


「作ったデータはどこに入れたらいいのかわかんないんで、一応デスクトップに保存しときました」

「……あー……ありがとう」


にこにことする隼也。
褒めて欲しいのだろうか。

……そういうところは、可愛いんだよな……。


「隼也、助かったよ」


隼也の肩に手を置いてそう言ったら、隼也の肩が面白いほどビクンっと跳ねた。
いやいや、そんなに驚くことないだろ……。
そう思ったけど隼也は俺からすごい勢いで離れて、怯えた子犬のような顔をして俺を見つめる。

あれ?ちがった?


「早川さん!!急に触らないでよ!心臓に悪い!!」

「はぁ?お前だっていっつもだろ?」

「違いますよ!」


どうしてそんな剣幕?
隼也は小さい声でなにやらブツブツ言っている。

そして急にばっと顔を上げたと思ったら、俺をさっきよりもキラキラとした目で見つめる。


「早川さん」

「ん?」

「じゃあ、頑張った俺に御褒美ください」

「御褒美?なに、御褒美って」