3 「隼也、これコピー」 「これ分けて」 「俺ちょっと会議だから、これをエクセルで表にしといて。前教えたでしょあの順番に。あとこれここにサンプルあるからこれ見ながら、これを文にしてくれる?」 俺の仕事を全て「はい」と頷いて片付けていく隼也。 その合間に他のヤツらに言いつけられた仕事までするから、相当手際がいい。 「隼也、大丈夫?」 「え?何がっすか?」 「仕事たくさんあるから、と思ったんだけど」 「……沢山あるからどうしたんですか?」 「あー……いや、なんでもない。」 「……?」 今日はあまりにも頼みすぎている、と思っていた。 それに、今日はみんなが忙しいせいで、大した仕事じゃなければみんな隼也に頼んでいる。 負担になってるんじゃないかと、少し声をかけてみたけれど、隼也には特に不満はないらしい。 まるでなんのこと?とでも言いたげな顔。 俺が首を振ればすぐさま仕事に戻っていく。 そんな隼也は少し活き活きしているようにも見える。 そんなにこの会社で仕事がしたいんだろうか。 仕事を教えればもっと役に立つ男になるだろうに、どうして彼はこの会社に拒まれてるんだろう。 俺には考えてもわからない。 テキパキと動く隼也を尻目に、俺は会議に行くべくその部屋を後にした。 |