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「隼也、これコピー」

「これ分けて」

「俺ちょっと会議だから、これをエクセルで表にしといて。前教えたでしょあの順番に。あとこれここにサンプルあるからこれ見ながら、これを文にしてくれる?」


俺の仕事を全て「はい」と頷いて片付けていく隼也。
その合間に他のヤツらに言いつけられた仕事までするから、相当手際がいい。


「隼也、大丈夫?」

「え?何がっすか?」

「仕事たくさんあるから、と思ったんだけど」

「……沢山あるからどうしたんですか?」

「あー……いや、なんでもない。」

「……?」


今日はあまりにも頼みすぎている、と思っていた。
それに、今日はみんなが忙しいせいで、大した仕事じゃなければみんな隼也に頼んでいる。

負担になってるんじゃないかと、少し声をかけてみたけれど、隼也には特に不満はないらしい。

まるでなんのこと?とでも言いたげな顔。
俺が首を振ればすぐさま仕事に戻っていく。

そんな隼也は少し活き活きしているようにも見える。

そんなにこの会社で仕事がしたいんだろうか。

仕事を教えればもっと役に立つ男になるだろうに、どうして彼はこの会社に拒まれてるんだろう。

俺には考えてもわからない。

テキパキと動く隼也を尻目に、俺は会議に行くべくその部屋を後にした。