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いつも通り隼也も来る。
今日は少し早いようで昼過ぎにすぐに来た。
遅い時は4時頃になったりするんだけれど、俺は隼也が何限をとってるかとか知らないから、何曜日に何時出勤だとか、そんなのはわからない。

もしかしたら喋ってるかもしれないけれど、聞いてない。


「早川さんおはようございます」

「ん、おはよう」

「あれ?なんか……クマすごいっすね」


隼也が俺を覗き込む。
そういう隼也の顔もすこし血色が薄い。
なんかあったのだろうか。

あれからというもの、俺はたまに隼也に「大丈夫か?」と声を掛けるようにしている。
やっぱりあの家での状況を見ていれば、何も心配しないわけには行かなくて。
隼也は決まって「大丈夫じゃないからうちに来てください」というんだけど、それを言う元気があるなら大丈夫だと俺は見ている。
何よりあの家に行きたくない。


「寝れなくてな」

「そうなんすか?」

「そうだよ。ほら、俺のことはいいから仕事して」

「……」


なかなか返事が返ってこないと思い、視界に軽く入っている隼也を正面から見る。

すると隼也はぼうっと俺を見つめていた。


「隼也?」


問いかければ、はっとしてその顔を引き締める隼也。
そしてなにか考えるようにした後、俺を見つめて話したそうにもごもごと口を動かす。

そして「あの、それって」と話の続きをしようとするから俺はもう目を逸らした。


「隼也、仕事」

「あ…………はぁい」


素直にいうことを聞くようになったもんだ。