2 いつも通り隼也も来る。 今日は少し早いようで昼過ぎにすぐに来た。 遅い時は4時頃になったりするんだけれど、俺は隼也が何限をとってるかとか知らないから、何曜日に何時出勤だとか、そんなのはわからない。 もしかしたら喋ってるかもしれないけれど、聞いてない。 「早川さんおはようございます」 「ん、おはよう」 「あれ?なんか……クマすごいっすね」 隼也が俺を覗き込む。 そういう隼也の顔もすこし血色が薄い。 なんかあったのだろうか。 あれからというもの、俺はたまに隼也に「大丈夫か?」と声を掛けるようにしている。 やっぱりあの家での状況を見ていれば、何も心配しないわけには行かなくて。 隼也は決まって「大丈夫じゃないからうちに来てください」というんだけど、それを言う元気があるなら大丈夫だと俺は見ている。 何よりあの家に行きたくない。 「寝れなくてな」 「そうなんすか?」 「そうだよ。ほら、俺のことはいいから仕事して」 「……」 なかなか返事が返ってこないと思い、視界に軽く入っている隼也を正面から見る。 すると隼也はぼうっと俺を見つめていた。 「隼也?」 問いかければ、はっとしてその顔を引き締める隼也。 そしてなにか考えるようにした後、俺を見つめて話したそうにもごもごと口を動かす。 そして「あの、それって」と話の続きをしようとするから俺はもう目を逸らした。 「隼也、仕事」 「あ…………はぁい」 素直にいうことを聞くようになったもんだ。 |