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そんなに言うなら俺から謝ればいい。
それはそうなんだが、なかなかできない。
なんといえばいいのだろうか。

負けず嫌い、とは少し違う。
頑固、というか。

喧嘩をしたら絶対に自分から謝りたくないタイプだ。


あんなことを言って今更、ごめん俺が悪かったって気まず過ぎないか?
営業目的って丸わかりというか。
いや、なんって言えばいいんだろうか。

なんかこう、俺から謝るのはお前と仲良くしたいですよって言うのが丸わかりっていうか。

かといって、さっきから言ってるがもう会えないのは、なんだか嫌だ。
ハルといる時間は楽しいし……。

あぁあ、焦れったい。

俺が謝らなきゃ、あいつはもう俺には会いにこないんだろうか。

俺はケータイを隅の方へやってから、うぅん、と悩む。


初めての時は、嫌な態度こそとったものの、その後ちゃんとフォローした。
だから、ちゃんとリピーターになってくれた。
けど今回は、フォローしてない。

来ないかもしれない。

いやでも、あいつのことだから。
あいつはすげー優しいから。

なんだかんだ会いに来てくれる。


きっとそうだ。

きっと、会いに来てくれる。



そうだ、今日にでも、来るかもしれない。



俺は淡い期待を抱いて、出入り口を見た。
瞬間、ガチャッとドアが開いて、俺は目を見開いた。

ハルかもしれない。

そう思った。