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『憐れなBLUEBUSTERのShino。』

この仕事を始めた頃はよくあったし、今でもたまにある。
俺の堕ちぶりを見に来る奴ら。

けど、始めの頃『歌って』と言われて、俺が律儀に歌った時、その歌だけ聞いて帰ろうとする奴がいた。

バカにするためだけに。

音楽関係の人もよく来ていた。
知り合いにあったことだってある。
大抵、歌ってしまえば俺の今のこの状態じゃなくて、昔の俺を馬鹿にされる。

『こっちで金を儲けるために、デビューしたんだろ』とか
『歌を歌うことを穢すな』とか。


俺はそういうのが大嫌いだった。

俺は誇りを持ってバンド活動をしていた。
自分の歌に絶対の自信だってあったし、歌うことが何より好きだった。

だから、その時の俺を否定されるのは何が何でも嫌だった。
俺がこういうふうになったのは、バンドでデビューしたからかもしれないけど、俺はBLUEBUSTERだったことに後悔は感じたくない。
大好きだったから。


だから、ハルにあんな感じで言われて俺は、思わず腹を立ててしまった。

ハルはすこし馬鹿というか、そんな感じだから俺をそんなふうに見てバカにしているわけではないんだろう。


前もBLUEBUSTERは神とか言っていたし。


悪いことをした、な。


そう思いながら開いたメールの本文は、よくわからないものだった。



「置いて帰った服をどうするかなんて、お前が好きにすればいいじゃねぇか……」