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もっと一緒に居たいって言われても……。


「一緒にって、仕事でいつも一緒だろ」


隼也はまだ俺の服を握ったままで、ふるふると小さく首を振った。


「そ、だけど、違うんです。俺、もっと一緒に居たいんです」

「それはわかったから。」


そんな事言われたって困る。
俺は強く振り払うこともできず、やんわりと腕を引っ張った。
すると、隼也が服を握る力も強くなる。


「仕事じゃない場所で一緒に居たいんです。早川さんと、仕事以外のことをしたいです」


捉えようによって全く違うふうに聞こえる。


「この前ラーメン食べに行ったろ……」

「だってあれは、早川さん誰かのために行ったんでしょ?」

「でもお前と行ったには変わりないだろ」

「変わります」

「じゃあまた連れてってやるから、な?」


俺はぐずるように言ってくる隼也の頭をポンポンと撫でた。
俺に弟がいたら、こんな感じなのかなぁと思ったり……。
いや、19にもなってここまで懐いている弟は居ないか。


「どうしても、イヤなんですか。」

「いやとは言ってないよ」

「じゃあいいじゃないですか……」

「また、いつか、な?」

「早川さん」


ほら、そろそろ離せ。
お前明日も学校だし、仕事場にも来るだろ?
そう言ったら、隼也はすごく残念そうな顔をして俺の腕を離した。

やっと観念したようだった。


「分かりました……。明日、仕事来てくださいね?あと、またご飯、連れてってください。」

「分かったよ。」


隼也は最後に俺の手をぎゅっと握ると、そのまま部屋の出入り口を開けてくれた。