5 もっと一緒に居たいって言われても……。 「一緒にって、仕事でいつも一緒だろ」 隼也はまだ俺の服を握ったままで、ふるふると小さく首を振った。 「そ、だけど、違うんです。俺、もっと一緒に居たいんです」 「それはわかったから。」 そんな事言われたって困る。 俺は強く振り払うこともできず、やんわりと腕を引っ張った。 すると、隼也が服を握る力も強くなる。 「仕事じゃない場所で一緒に居たいんです。早川さんと、仕事以外のことをしたいです」 捉えようによって全く違うふうに聞こえる。 「この前ラーメン食べに行ったろ……」 「だってあれは、早川さん誰かのために行ったんでしょ?」 「でもお前と行ったには変わりないだろ」 「変わります」 「じゃあまた連れてってやるから、な?」 俺はぐずるように言ってくる隼也の頭をポンポンと撫でた。 俺に弟がいたら、こんな感じなのかなぁと思ったり……。 いや、19にもなってここまで懐いている弟は居ないか。 「どうしても、イヤなんですか。」 「いやとは言ってないよ」 「じゃあいいじゃないですか……」 「また、いつか、な?」 「早川さん」 ほら、そろそろ離せ。 お前明日も学校だし、仕事場にも来るだろ? そう言ったら、隼也はすごく残念そうな顔をして俺の腕を離した。 やっと観念したようだった。 「分かりました……。明日、仕事来てくださいね?あと、またご飯、連れてってください。」 「分かったよ。」 隼也は最後に俺の手をぎゅっと握ると、そのまま部屋の出入り口を開けてくれた。 |