1 「早川さん、俺が死んだら悲しみます?」 「あぁ、悲しむよ。しばらく慣れられないだろうな」 「でもいつか慣れるんだ……世知辛い……」 「人間、どんな環境でも順応していくんだよ」 「そんな順応機能欲しくないっすね……」 隼也が俺に撫でられると心地よさそうな顔をする。 そんな隼也をみて、話して少しは楽になったかな、と、独り善がりな自己満足に浸ってみる。 「俺、死んだら早川さんにずっと覚えててもらいたいっす」 「そりゃ覚えてるよ。義兄さんの弟だし、仕事もいっぱい一緒にしたし。」 「もっと強い繋がりで」 「ん?」 今なんか変な事言わなかったか? そう思ったけど、隼也はケロッとしてこっちを見てすらいなかった。 俺は小さく首を傾げると、隼也の頭から手を離した。 そしてゆっくりと立ち上がる。 すると隼也が不思議そうな顔をして俺を見上げた。 「そろそろ帰ろうかな。」 「え?」 「そりゃ帰るだろ。明日も仕事だし」 「そ、そうっすよね……」 腕時計を見たら、もう10時を過ぎそうだった。 予定にはなかったけど、ここに居過ぎてしまったらしい。 ぐっと伸びをして、部屋を見渡す。 奥の方を見ると少し乱れたベッドがあった。 その隣にあるのはローテーブル……の上に乱雑においてあるCD……。 遠くから見てもわかる、あれ、ブルーバスターのCDだ。 ……。 志乃さん。 俺は思わずそれを見て思い出すと、携帯を手に取った。 連絡なんてきてるわけない。 どうやって連絡しよう。 「はぁ……」 思わずため息が出る。 「早川さん、なにか飲み物飲みます?」 「あぁ、いいよ。さっきコーヒー飲んできたから」 「そうですか。じゃあ……えっと、どこか……座ってください。」 |