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「最初は俺、それが普通なのかなって思ってたんすよ。兄さんとは年が離れてるし何もわからないし。海外とか、国内でさえ飛び回る人たちだから、あんま話せなくて、誕生日にプレゼントが送られてくるだけだったんです。でも、物心ついたときにアルバムを見つけて」

「アルバム?」

「そうっす。アルバム。各国や各地で撮ったのが出てきたんすよ。」

「へぇ……まぁ、それは撮るよね」

「その時、兄貴の小さい頃の写真を見つけたんすよ。ずっと母さんに抱かれてた。琴音さんに聞いたら、兄さんはずっと両親と一緒だったって聞いて。なんか凄く寂しくなったんすよ。兄との違いって言うのを、幼心に痛感したというか。」


よくあるやつだ。
弟は長男に嫉妬して、兄は次男に嫉妬する。
うちは両方共長女長男だけど、やっぱり生まれた順番的には俺が弟で、「お姉ちゃんが先ね」とか、「弟に譲ってあげなさいよ」の言葉で大抵喧嘩してた。


「それは、長男だから見せて歩きたかったんじゃない?初めての子だし」

「そんなんわかってますよ。」


隼也の声が重くなる。
隼也は下を向いて悔しそうに唇を噛み締めていた。


「そんなんわかってます。こんなこと気にするなんて、俺、ガキ臭いんだって。でも、やっぱり、要らないのは辛いんです」

「要らない?」

「だってそうでしょ?!長男は跡継ぎだから大事だけど、俺はそうじゃないからどうでもいいんです!何もすることがないんすもん。何もしなくていいって、会社のことも知らなくていいって教えてくれない。兄さんは大切にされてる、望まれてる。だけど俺はそうじゃない。もし明日いなくなったって誰も悲しまない」