3 「ハル君!!久しぶりね!!」 「わっ、ねえさ、ん」 通された部屋に行くと、そこには姉さんがいた。 綺麗なドレスを着て、俺に抱きついてくる。 相変わらず軽い体。 俺はそんな体を受け止めた。 ニコニコと笑う顔は可愛い。 「隼也くんがね、ハル君とご飯に行ったっていうから、私も会いたいって言ったのよ。こんな早くに会えるなんて思わなかったわー!」 「姉さん、わかったから落ち着いてよ」 「うふふ、だって結婚式以来じゃない……少し痩せた?お仕事大変なのかしら」 「そんなことないよ……充実してる」 社長と姉さん。それから会長とご夫人。 みんながぞろぞろと集まるのを見て、そしてその空気の違いに圧倒する。 姉さんもすっかり馴染んでいるみたいだ。 「遥幸君、久々だね」 「……しゃ、えっと、義兄さん……」 姉さんの隣に来た社長に恐る恐る挨拶する。 あぁ、緊張する。 「隼也の面倒を見てくれてるみたいで。ありがとう、アレの世話は大変だろう?」 「え?あ、あぁ……」 夕食の準備はすっかり出来ているようだ。 急に来ると決まったのに、出来ているなんて……。 そう思いながら、案内された席に座る。 社長に話しかけられながら、ふと隼也の姿を探してみる。 「大変……でもまぁ、部下みたいなもんですし」 「そうかい。いつでも無理になったら言ってくれよ」 「え?」 「ただのバイトだからね。いつでも辞めさせられる。」 隼也は一番下の席で、なにやらまださっき話していた女の人と話しているようだった。 それに、社長の言動も親族とは思えない程厳しいものに聞こえる。 なんかまるで、嫌っているような。 「そんな、よく仕事ができる子じゃないですか」 「そうかい。昔から頭だけはいい子だからね」 ふとこっちを見た隼也の顔はいつも会社で見る顔よりも、覇気が無いように感じられた。 |