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「ハル君!!久しぶりね!!」

「わっ、ねえさ、ん」


通された部屋に行くと、そこには姉さんがいた。
綺麗なドレスを着て、俺に抱きついてくる。
相変わらず軽い体。

俺はそんな体を受け止めた。
ニコニコと笑う顔は可愛い。


「隼也くんがね、ハル君とご飯に行ったっていうから、私も会いたいって言ったのよ。こんな早くに会えるなんて思わなかったわー!」

「姉さん、わかったから落ち着いてよ」

「うふふ、だって結婚式以来じゃない……少し痩せた?お仕事大変なのかしら」

「そんなことないよ……充実してる」


社長と姉さん。それから会長とご夫人。
みんながぞろぞろと集まるのを見て、そしてその空気の違いに圧倒する。
姉さんもすっかり馴染んでいるみたいだ。


「遥幸君、久々だね」

「……しゃ、えっと、義兄さん……」


姉さんの隣に来た社長に恐る恐る挨拶する。
あぁ、緊張する。


「隼也の面倒を見てくれてるみたいで。ありがとう、アレの世話は大変だろう?」

「え?あ、あぁ……」


夕食の準備はすっかり出来ているようだ。
急に来ると決まったのに、出来ているなんて……。
そう思いながら、案内された席に座る。

社長に話しかけられながら、ふと隼也の姿を探してみる。


「大変……でもまぁ、部下みたいなもんですし」

「そうかい。いつでも無理になったら言ってくれよ」

「え?」

「ただのバイトだからね。いつでも辞めさせられる。」


隼也は一番下の席で、なにやらまださっき話していた女の人と話しているようだった。
それに、社長の言動も親族とは思えない程厳しいものに聞こえる。

なんかまるで、嫌っているような。


「そんな、よく仕事ができる子じゃないですか」

「そうかい。昔から頭だけはいい子だからね」


ふとこっちを見た隼也の顔はいつも会社で見る顔よりも、覇気が無いように感じられた。