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俺は人形じゃない。
生きてるんだから人並みに感情がある。
何もしなくていいと言われたって、余計なことしなくていいと言われたって、居なくても居てもいい存在みたいに扱われるのは、嫌だ。


「な、なんでそんなこと言うんですか!!小早川さんのために買ってきたのに?!俺心配してるんすよ?!」


いろんな思いが溢れてきて、「なんで?!」って気分になる。
どうしてそんなにうまくいかないんだろう。
どうしていつもいつも、こんなにもやもやしなきゃいけないんだろう。

そう思いながら声を出したら、予想外に大きかった。


「声がでかい……俺別にお前に心配してなんて頼んでないよ」


早川さんは、むっと眉を寄せて俺を見た。
俺は、ビニール袋をきゅっと握って、早川さんを見つめ返す。

興味を持ってもらえるだけ、嬉しいことだと思った。
嫌われるだけいいのかなって。
嫌われてるってことは、俺を見てもらってるってことだし。

だけどやっぱり、違う。

好きな人には、好意を持ってもらいたい。
嫌いじゃ、苦しい。
早川さんの視線が、返事が冷たいほど、俺は苦しくて、傷つく。


「そんなに、俺のことが嫌いですか」

「隼也?」

「俺が買ったものすら受け取れないぐらい、俺のこと嫌いですか?」

「それとこれは違うだろ」

「俺心配なんです。ただ、純粋に、心配なんです。仕事休みだって聞いて、風邪って聞いて。来たけど元気ないから、少しでも元気になって欲しいって思って」


本当に、そう。
俺、早川さんめったに休まないから、本当に心配した。

何言ってるかわからなくなってきて、だんだん目の奥が熱くなる。
鼻の奥もツンっとする。


「隼也、なんで泣くんだよ。困るんだけど。俺が泣かせたみたいじゃん」

「っ、だって、そうじゃないっすか。早川さんがひどい事言うから」

「……ごめんって、それは謝るよ。言いすぎた」