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昔から俺は、要らない存在だと思っていた。
ていうか、現にそうだと思う。

父も母もそれなりには相手をしてくれる。
話もたまにする。
けど俺は、あんまり父さんと母さんと話した記憶がない。

一般家庭では弟ができると、世話が焼けるからそっちの方に付きっきりになるけれど、うちは違う。

お金があるから、ベビーシッターも雇える。
だからうちは、両親はずっと兄さんに付きっきり。

俺は、小さい頃から世話をしてもらってる琴音さんが親代わりだ。

使用人の人たちは気にして俺には何も言わないし、気を使ってくれるけど、実際俺はかなり可哀想な部類に入ると思う。


小説を読んだりすると、いくらでも可哀想なキャラクターは居る。
親が居ないとか、虐待を受けているとか、そんなキャラクターたちよりも全然幸せなのはわかる。

琴音さんが親代わりをちゃんとしてくれているし、話し相手になってくれる執事も居た。
お手伝いさんたちだって毎日、暇だと言ったら遊び相手になってくれたし。

だけど、やっぱり、本当の父と母が自分を可愛がってくれないというのは、幼いながら不満だった。

自分がもっと違う家庭に住んでいれば、生まれていれば、もっと違う形になったんじゃないかって、思うことがある。