3 「早川さー……ん?」 大事な仕事だから邪魔してはいけないと思いつつ、後ろから話しかける。 「邪魔しないで」 「いや!邪魔じゃないっすよ?!」 早川さんの冷たい声を聞いて、体が少しピンッとなった。 すこし、少しだけ話したいだけで! 邪魔じゃないです! うん!少し! 俺はこっそりと近づく。 「あの、昨日義姉さんに早川さんのこと話して……」 書類を確認する早川さん。 どんな仕事なんだろう、と軽く覗き見てみる。 けど早川さんはそれをすぐにデスクに置くと、パソコンを立ち上げ始めた。 「義姐さん……早川さんに」 「ねぇそれ今じゃなきゃダメ?俺これが終わったら帰るから早く終わらせたいんだ。邪魔しないで」 「あっ、確かにプライベートですもんね!」 早川さんはパソコンに向いて、なにやらソフトを起動させるとそのままキーボードを叩き始めた。 うん、たしかに今じゃなくてもいいし。 明日でもいいもんなぁ。 仕事じゃなきゃ早川さんと話す機会ないから、また今度にしよう。 それにしても、これが終わったらすぐに帰るだなんて、そんなに体調が悪いのかな? 心配だな。 俺はこっそり早川さんの顔を覗きこんでから、少し考えた。 |