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「早川さー……ん?」


大事な仕事だから邪魔してはいけないと思いつつ、後ろから話しかける。


「邪魔しないで」

「いや!邪魔じゃないっすよ?!」


早川さんの冷たい声を聞いて、体が少しピンッとなった。
すこし、少しだけ話したいだけで!
邪魔じゃないです!
うん!少し!

俺はこっそりと近づく。


「あの、昨日義姉さんに早川さんのこと話して……」


書類を確認する早川さん。
どんな仕事なんだろう、と軽く覗き見てみる。
けど早川さんはそれをすぐにデスクに置くと、パソコンを立ち上げ始めた。


「義姐さん……早川さんに」

「ねぇそれ今じゃなきゃダメ?俺これが終わったら帰るから早く終わらせたいんだ。邪魔しないで」

「あっ、確かにプライベートですもんね!」


早川さんはパソコンに向いて、なにやらソフトを起動させるとそのままキーボードを叩き始めた。

うん、たしかに今じゃなくてもいいし。
明日でもいいもんなぁ。

仕事じゃなきゃ早川さんと話す機会ないから、また今度にしよう。

それにしても、これが終わったらすぐに帰るだなんて、そんなに体調が悪いのかな?
心配だな。


俺はこっそり早川さんの顔を覗きこんでから、少し考えた。