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「志乃さん。キスしてもいい?」

「ん?あ、あー……いいけど」

「ありがとう志乃さん……」


俺がお粥を食べるのに戸惑っている間、ハルはタンスを漁っていた様だったけど、俺がお粥を食べ終わると俺の前に来てそう言った。
もしかしてずっと我慢していたんだろうか。


「志乃さん、……へへ」

「なんだよ気色悪い……」

「いやぁ、俺のベッドの上に志乃さんがいるのって新鮮で。」


言い終わるか言い終わらないかのところで、ハルの唇が俺の唇に触れた。
むにゅ、と形が変わって生ぬるい唇の感触を感じる。


「むっつり、エロい妄想しただろ?」

「してないとはいえないです」

「元気だなぁ……」

「元気って……」


ぎゅうっと俺を抱きしめる腕が、絶妙な力加減で心地いい。
それだけでかなり気持ちいい。
ハルの体に体をあずけたら、ハルは俺をしっかりと抱き留めて、背中を優しくなでてくる。

じんわりと体の中が、温かくなって思わず目を伏せてしまう。
そのままハルの背中に腕を回したら、またハルが俺の唇にキスをした。


「ん、志乃さん。」

何かを抑えて、でもそれでも溢れてしまったような声音。
それを聞きながら、俺はうっとりとそのキスに応えた。


俺に訪れたことのない、落ち着いた空間でとても穏やかだった。