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「志乃さん。ご飯持ってきましたよ?」


しばらくぼうっとしていたら、ハルが戻ってきた。
部屋の中はすっかり明るくなっていて、探した時計の短針はもうすぐ9を指しそうだった。


「なんだそれ」


ハルは片手に何かを持っていた。
器みたいだ。
ハルはゆっくりと俺の近くのローテーブルに置くと、一緒にスプーンを置いた。


「おかゆ、食べやすいほうがいいかと思って……さっき吐いたって言ってたでしょ?」

「あー……」

「あんまり刺激の強いものは良くないんじゃないかと思って」


湯気が立っている。
はっきりそれが分かるというのは、かなり熱いんだろう。
それを見ながら、数時間前のことを思い出してしまって、体がぶるっと震えた。

死ぬかと思った。
まだ体が痛くて、じんじんする。
けど、ハルになにを言われても、やっぱりやめようとは思えなかった。


「あれ?志乃さん」

「ん?なんだよ」


やっと俺を見たハルが、眉を寄せた。


「まだ、痛い?苦しいの?」


そう言って、俺の頭を撫でる。
俺はさっぱり意味がわからなくて、ハルを見つめ返した。