4 「志乃さん。ご飯持ってきましたよ?」 しばらくぼうっとしていたら、ハルが戻ってきた。 部屋の中はすっかり明るくなっていて、探した時計の短針はもうすぐ9を指しそうだった。 「なんだそれ」 ハルは片手に何かを持っていた。 器みたいだ。 ハルはゆっくりと俺の近くのローテーブルに置くと、一緒にスプーンを置いた。 「おかゆ、食べやすいほうがいいかと思って……さっき吐いたって言ってたでしょ?」 「あー……」 「あんまり刺激の強いものは良くないんじゃないかと思って」 湯気が立っている。 はっきりそれが分かるというのは、かなり熱いんだろう。 それを見ながら、数時間前のことを思い出してしまって、体がぶるっと震えた。 死ぬかと思った。 まだ体が痛くて、じんじんする。 けど、ハルになにを言われても、やっぱりやめようとは思えなかった。 「あれ?志乃さん」 「ん?なんだよ」 やっと俺を見たハルが、眉を寄せた。 「まだ、痛い?苦しいの?」 そう言って、俺の頭を撫でる。 俺はさっぱり意味がわからなくて、ハルを見つめ返した。 |