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どんどん、ライブ会場には空席ができて行った。
街中を歩いていても気づかれなくなったり、笑われたりするようになった。

どんどん、離れていく。
俺を見ていた人が、俺よりもいい人を見つけて離れていく。

量産型。

新しいものを見つけたら食いつくだけで、俺にはなんの才能もない。
俺にはなんの魅力もないんだと。
これがその結果だと、会社にも捨てられた。

いらない。
出て行ってくれ。
お前ともうバンドは続けられない。

じゃあ俺はどうしたら良かった?
どうしたら俺は捨てられずに済んだ?
やれること全部した。
ボイトレだって時間が許す限りやってた。
なにが、世間は俺の何が気に入らなかった?


中古屋を見た時、俺の出したCD全部定価を切って500円程度で売られているのを見て、俺はすべて壊してしまいたくなった。
捨てられたものも沢山あるんだろう。
そんな安い値段で取引されて、挙句の果てに捨てられて。
胸が引きちぎられる思いだった。

俺の声が、歌が、耳障りとでも言われているようで。

まるで、世間からはじき出されたような感覚。

どんどん世界は俺を忘れていく。
まるでなかったことのようにされていく。
そして、なんかのきっかけで思い出せば、「そういうのもあったね」なんて鼻で笑う。

そこら辺に落ちてる紙切れ同然。


俺はもっと、愛されたい。
俺だけを見て欲しい。
本当は過去の人だなんて扱いを受けたくない。
俺の歌を忘れないで欲しい。
俺のことを忘れないで欲しい。

他の誰よりも俺がいいと、言って欲しい。
俺をもう一度、認めて欲しい。