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俺は救急箱を持ってきて開いた。
使ったことのないガーゼや包帯があって、使っても大丈夫かな?とか思いながら取り出す。

あたりはもう、電気がなくてもいいほど明るくなってきていた。


「志乃さん手当しますね。」

「べつに、いいけど……」


背中にある傷から、胸にある傷。
肩口には噛み跡まである。
それにガーゼを当ててから、そこにくるくると包帯を巻いていく。
ガーゼに軽く血が滲んで、思わず俺が顔を歪めてしまう。


「すげえなぁ、よくこんなに集めたな」

「なんのことです?」

「CD。通常版と初版と……アルバムも二種類ずつ。」

「だって入ってる曲が違ったりしたし……DVDとかもあるしさ」

「はは、懐かしー……。お前何歳の時?」

「俺が17の時から聞き始めたんです。そこで遅れてた分とかなんとかして手に入れて。でもその時スゴイ人気だったから凄い高くて大変で……最近手に入れたのもありますよ」

「あはは、最近なら昔は5000円でも売れたもんが、今は500円でも売れねぇんだろうなぁ」


何も言えなかった。
確かにそうだからだ。
ブルーバスターのCDは、今は定価も切っていてたまにセールで格安で売り出されている。
中古で見てもたくさんあって、切れているCDがない程だったりする。

切なげな声を出す志乃さんに、俺は部屋に貼っているポスターに目を移すしかできなかった。


「殺されるかと思った。今日来ると思ってなかったんだ俺。」

「……?」

「今日来た客。突然来て、さ」


手当が終わった体。
志乃さんはその体を撫でながら目を細めた。