3 俺は救急箱を持ってきて開いた。 使ったことのないガーゼや包帯があって、使っても大丈夫かな?とか思いながら取り出す。 あたりはもう、電気がなくてもいいほど明るくなってきていた。 「志乃さん手当しますね。」 「べつに、いいけど……」 背中にある傷から、胸にある傷。 肩口には噛み跡まである。 それにガーゼを当ててから、そこにくるくると包帯を巻いていく。 ガーゼに軽く血が滲んで、思わず俺が顔を歪めてしまう。 「すげえなぁ、よくこんなに集めたな」 「なんのことです?」 「CD。通常版と初版と……アルバムも二種類ずつ。」 「だって入ってる曲が違ったりしたし……DVDとかもあるしさ」 「はは、懐かしー……。お前何歳の時?」 「俺が17の時から聞き始めたんです。そこで遅れてた分とかなんとかして手に入れて。でもその時スゴイ人気だったから凄い高くて大変で……最近手に入れたのもありますよ」 「あはは、最近なら昔は5000円でも売れたもんが、今は500円でも売れねぇんだろうなぁ」 何も言えなかった。 確かにそうだからだ。 ブルーバスターのCDは、今は定価も切っていてたまにセールで格安で売り出されている。 中古で見てもたくさんあって、切れているCDがない程だったりする。 切なげな声を出す志乃さんに、俺は部屋に貼っているポスターに目を移すしかできなかった。 「殺されるかと思った。今日来ると思ってなかったんだ俺。」 「……?」 「今日来た客。突然来て、さ」 手当が終わった体。 志乃さんはその体を撫でながら目を細めた。 |