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「とりあえず傷の手当をしましょ。多分一応包帯とかあったはず……」

「いーよ塞がるから」

「塞がらないです。現に塞がってないじゃないですか」

「……それは、濡れて」

「ちょっとこっち来て、座ってください。」


部屋の電気をつけて、ベッドがある方に志乃さんを引っ張る。
ポスターだけでも剥がせばよかったんだけど、いろいろ考えてたらそんな暇なかった。
あったかい飲み物を作って、ご飯を何にしようか考えて。

ふと見た視界に入った時計は、もう5時半過ぎを指していた。

今日はもう会社を休んでしまおう。
こんな人をほうっておいて会社に行けない。


「お前……すごいなここ」


ベッドに座った志乃さんが、少し驚きながら部屋を見渡す。
よかったことに、引いては居ないようだった。
俺はベッドから離れて、救急箱とさっき作ったホットミルクを取りに行く。


「言ったでしょ。あなたのファンだって」

「ここまでマジとはなぁ。」

「マジですよ。マジじゃなかったら初めてあなたにあった時あんなに驚かなかった。」

「男がいるってのに驚いて欲しいとこだけどな」

「それよりも志乃さんがいるっていう衝撃が」


ホットミルクを手渡せば、それを覗き込んだ志乃さんが、そろっと口を近づけた。
そして、軽くふぅふぅと吹く。
かわいいな……ていうか、似合わなくて、アンバランスで、かわいい。

猫舌なのかな、とか思ったり。
「あち、」と言ってすぐに口を離した志乃さんをみて、思わず笑いそうになる。


「熱いの苦手なんですね」

「うるせー……猫舌なんだよ……」