1 「ほんとすごいよ……」 風呂場から出てきた志乃さん。 髪の毛から水滴が落ちている。 そんな志乃さんの体にはやっぱり傷がある。 前の比じゃない。 まだ血が出ているんだから、相当深く切られたんだろう。 首元にもある鬱血痕。 でも鬱血よりも切り傷の方が痛々しかった。 何も気にせずに全身を見ていたら、志乃さんが俺の顔をちらりと見た。 そして全裸のことに気づいて、はっとする。 顔がどんどん熱くなってきて、思わず目を逸らした。 「とりあえず下着、下だけ……」 「何照れてんだよこっちが恥ずかしくなるわ」 志乃さんの言葉で、思わずぐっとつばを飲み込む。 俺は自分の下着を差し出した。 けど、すぐにあることが気になって思わず見てしまう。 「ん?」 「今回は足にキスマークがついてない……」 「あぁ、変に尿道いじられなかったからなぁ」 「尿道?!」 「知らねぇ?小便出る穴にカテーテルってやつを差し込んだりすんの。」 「し、知ってるけど、痛い……俺今ちんこが……」 「はは、あー……うん。すげーいてぇよ」 なんでもないことのように、痛いという志乃さん。 強がりなのか、それとも何も感じなくなってしまったのか。 いやいや、そんなことは絶対にない。 痛いんだ。 痛いんだから何も感じないなんてこと、絶対にない。 |