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「ほんとすごいよ……」


風呂場から出てきた志乃さん。
髪の毛から水滴が落ちている。

そんな志乃さんの体にはやっぱり傷がある。
前の比じゃない。
まだ血が出ているんだから、相当深く切られたんだろう。
首元にもある鬱血痕。
でも鬱血よりも切り傷の方が痛々しかった。

何も気にせずに全身を見ていたら、志乃さんが俺の顔をちらりと見た。
そして全裸のことに気づいて、はっとする。
顔がどんどん熱くなってきて、思わず目を逸らした。


「とりあえず下着、下だけ……」

「何照れてんだよこっちが恥ずかしくなるわ」


志乃さんの言葉で、思わずぐっとつばを飲み込む。
俺は自分の下着を差し出した。
けど、すぐにあることが気になって思わず見てしまう。


「ん?」

「今回は足にキスマークがついてない……」

「あぁ、変に尿道いじられなかったからなぁ」

「尿道?!」

「知らねぇ?小便出る穴にカテーテルってやつを差し込んだりすんの。」

「し、知ってるけど、痛い……俺今ちんこが……」

「はは、あー……うん。すげーいてぇよ」


なんでもないことのように、痛いという志乃さん。
強がりなのか、それとも何も感じなくなってしまったのか。

いやいや、そんなことは絶対にない。
痛いんだ。
痛いんだから何も感じないなんてこと、絶対にない。