1






「……ッン、は……見たくねぇ?俺の勃起乳首」


ぐり、ぐり、と俺の手の甲を胸に押し付けるように何度も押すシノ。
俺がさっきの声と顔について考える暇も与えないように、気をそらさせられてる気がする。


「見てどうするんですか」

「あん?見て興奮するんだろ。ピンク色ー……舐めて、吸って……そんで、軽くあまがみして……っあ、ァ……乳首疼く……ッン」


軽く震えてみせたシノが、口を薄く開いて「え」の口で「あ」と発音する。
赤い舌がちらりと覗いて、思わず……俺の喉がゴクリ、と音を立てた。

手の中で感じるシノの体温が高くなる。
乳首がくにっと形を変えたり、先端を擦るように動いたり。


……っ、エロい。
手をくすぐられるその感覚も、そこに乳首がある感覚も、なぜかそこに女の人の胸があるよりエロい気がした。


しかも、シノのその顔は、当時バラード曲を歌っていたあの顔にそっくりだった。

何度も見ているから、余計にそう思ってその顔に目が釘付けになる。

歌を歌う顔は喘いでいる顔に似ていると聞いたことがあるけど、今、確かにそうだと思った。


「早く触ってくんねぇと……自分で触るぜ??お前に触ってもらいたくてたまんねぇのにィ……」



そんなこと言われたって……っ


くにっと形を変える乳首が俺の手を伝って、形を感じさせてきて、俺は頭の中でその形を想像できてしまう。


じくじくと脳が侵食されていく。

別に俺はシノとそういうことがしたいんじゃ、ないのに、だめだ。


喘ぐその顔が、歌っていた顔に似てる。
でも今は歌ってるんじゃなくて、違う。

あの何千人の前に晒してたあの顔で、はしたない言葉を言って、俺を誘って。

その、背徳感というか、なんていえばいいのかわからない。
けど、それがまたスパイスになって、ずりずりと俺の欲望が引き出されていく。
意思と関係なく、下腹部が熱くなってくる。