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shinoの何が好きなんだろう。
はじめてCDを買ったのはなんでだっけ。

そうだ、初めてCDを買ったのはメジャーデビューをする前だ。
友達に勧められたんだった。
バンドを始めた友達が、インディーズ時代のブルーバスターを見つけて、それですっごいいいから聞いてくれって。

初めて聞いた時に受けた衝撃。
でも、その中でもshinoの声が耳をついて離れなかった。
また聞きたい。
もっと聞いていたい。
そう思わせる声だった。

今でもそう思う。
美しい英語の発音に、耳に残るインパクトのある声。
暇さえあれば流している程に俺は、未だに「BLUE BUSTER」の「ファン」だ。

歌ももちろんだけど、俺はshinoの性格というか、立ち振る舞いも好きだった。
体格の割に出ている喉仏も、いつだってプリンになったことのない金髪も。

ライブの時はいつもかっこよさを保ちつつ、観客全員を楽しませてくれるようなそんなエンタテインメントをいつもしていた。
女性向けでも男性向けでもなく、あくまで誰が見ても面白いもの。
プロモでも、ライブでも、歌番組でも、いつもかっこつけすぎてるぐらいのshinoが、かっこよくてたまらなかった。

あんなに背が低いのにものともしてなくて。
強く、凛としている姿がかっこよかった。


そんな、shinoと、志乃さんが同一人物だと思うと、俺はまたあの人に引き込まれる気がする。


人はギャップに弱いっていうけど、本当にそれは当たってる。


shinoと志乃さんは違うけど、一緒だ。

憧れと尊敬しか抱いていなかった、神のような人物。
そんな彼が直接触れることによって紛れもない人間だとわかった。

shinoは志乃さんのあくまでも外の面で、本当はあんな人。
意地悪く笑って、かっこよくないことだってやって、それでたまには甘えてみたりして。
shinoを見るだけじゃ絶対に感じ取れなかった一面。

別に、がっかりすることはなかった。
shinoの評価は変わらない。
俺の中では相変わらず神。
だけどそれが、実は志乃さんで、志乃さんはこんな一面があってshinoだったって思うと。

shinoは志乃さんだけど、志乃さんじゃない。同じ人だけど、違う人。


複雑だなぁ、と、自分で考える。

手持ち無沙汰に近くにあるポスターを見てたら、そこにはBLUE BUSTERが写っていた。
それを見て、数日前に会った志乃さんを思い出す。

志乃さんが歌ったら、どんな感じなんだろうなぁ。