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いっそのこと、1日とか休みとってみたらどうだろうか。
志乃さんに合わせて。
そしたら、あの人の好きな甘いものとやらも食べに行けるし。
普段何をしているのか知らないけど、ちょっと一人じゃ行かないようなところにいったりして。

いや、それはやりすぎか。
気合入れすぎだよな、俺。

俺はあの人と出かけたいと思ってるけど、あの人はただご飯が食べたいと思ってるだけだろうし。


「ただ飯……」


別にいいけどね。
志乃さんが美味しそうに食べてくれるなら、俺はどれだけ志乃さんのご飯代を出してもいいと思うし。
ってこれ、超ダメ男の典型じゃん。

でも、昔から少し貧乏な家庭で育った分、節制する癖がついてるし。
お金だけは沢山貯めてる。
最初の頃は仕送りをしてたけど、姉さんが社長と結婚してからというもの、楢崎財閥がうちの両親の面倒まで見てくれてるから、その必要もなくなった。
そんなことしなくてもいいと言ったのに、「金だけはあるから」なんて言われちゃって。
義兄さんかっこよかったな……。
ゲスい発言でしかないけど。


やっぱ好きな人の面倒って言うのは見てあげたいし、辛い状況にいるなら救ってあげたいと思っちゃうよなぁ。

かといって、俺は志乃さんに何があってあの状況に陥ったのか知らないし、志乃さんがあの職業を嫌いかどうかも知らない。

ただ、痛いのが嫌いとかそういう些細な情報は知ってるけど……。

こんなに志乃さんのこと考えときながら、俺は志乃さんのこと全然知らないんだなぁ……。