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「それはそれは、冴えた勘ですね」


あぁ、裸だ。
仰向けになって俺は目の前の男に生まれたままの姿を晒している。
両手を拘束されて、目隠しをされて。


「褒められてるのかな?ありがとう。志乃、ここは慣らしてる?」


男は今どんな顔をしているのだろう。
見えないのは見えないので楽だけど、気味が悪い。
正体がわからない物体を、ケツの穴に押し付けられて、俺はゆるく首を振った。
誰も来ると思ってなかったから、慣らしてない。
予約が入ってない日は大抵、慣らさずに相手の前でプレイの一環として自分で慣らす。
今日もそれでいいやと思っていたから。


「そうか、よかった。君のここはユルいからね。慣らしてない方が絶対に気持ちいい。」

「……、そのま、ま」

「当たり前だろ?さぁ、僕の勃ってないから勃たせてよ。」


閉じていた口に当たる男の萎えたそれ。
しばらく閉じていたら、男の指が唇を撫でてそのまま唇の間を割り開くように入ってくる。


「噛むなよ」

「わかってますよ。商売ですから」


無理矢理に口を開けられて、オレはそれに抗わずに口をさらに開いていく。
鼻をつく臭いに、慣れない感触。


「舐めて」


口入ってきたそれに、まずは形を把握するように俺は舌を這わせていく。


「んぁ……あ」


どこをどう舐めればいいのか、それは知ってる。わかる。
けどやっぱり、自分のと人のでは違う。
自分で気持ちいいとこはわかってても、なかなかそこを気持ちいいように刺激するってのは、自分の体じゃないから難しい。
今こうしてて、相手がどう感じてるのかわかんないから、なかなか、掴めない。

口をすぼめれば、男が腰を動かして、口の中のそれが出たり入ったりを繰り返し始める。


「もっと、舌絡めて」

「ん、ぁ……っんく、」