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「志乃くん。君、『BLUE BUSTER』の『shino』なんだってね?」


がちゃり、と音がして手首が背中で拘束される。いつものように少しだけ左右に引っ張って外れないことを確認する。
あぁ、始まる。
そう再確認をして、体が震えるのを必死に抑える。

真っ黒の布で目を覆われて、目の前も見えなくなる。
これで自由なのは足だけ。


「今更?あんた今まで俺をなんだと思ってたんですか」

「うん、訳ありなのはわかってたけどね。おおかたヤクザにでも捕まったのかと」

「はは、あながち間違ってないかもなぁ」

「なぁに、なにかやらかしたのかい?」


ハサミの音が聞こえる。
目の前は真っ暗で何も見えないから、音だけで状況を判断するしかない。
そのせいで自分の息遣いにすらも敏感になってしまう。


「やら、……それはあんたにも話す必要のないことですよね。命令って言っても話しません」

「おや。君は案外馬鹿だと思っていたのに」

「確かに馬鹿ですけど」


肌の上にハサミの刃があたって、ジャキッと音が聞こえる。
そしてそのまま、ジャキ、ジャキとその音は等間隔に聞こえてくる。
腹の中央を通っていく感覚。
そこでやっと、服を切られていることに気づいた。


「ここには元芸能人しか居ないんですよ。知らずに来たなんて。」

「ここなら君みたいな子がいそうな気がしてね」


冷たくないはずの空気が、体にに当たって服が全て脱がされる。
張り詰めた空気を感じて、自分が相当怖がってることがわかった。