3 でもお前この前散々いろいろ言ってたじゃん! ヤりたいだけとかもないの? とか思うけど、もう他の話に移っていきそうな勢いだったから俺はそのまま何も言えなくなる。 「早川さんはどんな恋愛してきたんすか?彼女がたくさんいたって話は聞いたんすけど」 「何それ語弊があるよ。沢山いたんじゃなくて、たくさん付き合ったことがあるだけ。」 「一緒でしょ。つか、すごいっすねぇ、あれっすか?今流行りのロールキャベツ的な」 今流行りっていうか、それはもうだいぶ前の用語なんだけど。 金持ちって流行とか疎いのかな。 かと言って俺も人のことは言えない。 ベーコンレタスバーガーが頭の中に浮かんで、慌てて消した。 ベーコンレタスバーガーって。 「お前は外も中も草だな」 「俺のことはいいんですって!その風俗のさ、女優さんと普段どんなことしてるんすか?何回行きました?」 「なんかさぁ、俺のことばっかり聞いて不公平じゃない?」 「逆に俺の事知りたいっすか?」 俺ばっかり喋ってる気がする、なんて思って顔をあげたら、隼也は首をかしげた。 くるりとした目と目が合う。 そして考えて思う、 たしかに、確かにそうだ。 俺こいつに興味無い。 隼也が誰と恋愛してたって誰とヤってたって興味ない。 「…確かに興味無いけど……でも…そういうの話すことじゃないから」 「いいじゃないっすか、同じ男でしょ?」 「お前は男であって男でないからな」 「なにそれ!」 隼也の話が本当で、本当に彼女もできたことなくて、付き合った人もいないならそれこそ、同じ男として見られない。 なんだか子供を相手にしている気分というか。 案外人は見かけによらないのかもしれない。 遊んでそうなその容姿を見てから、コイツのお兄さんを想像する。 彼はかなり遊んでいたと聞いたんだけど……。 まぁ、それはそれ、これはこれなのかな。 |