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「っあ、ん…」

「…っ?!」


聞いたことのないような、シノの甘い声が部屋に響いた。
おまけに近くにあったシノの顔は、一気にエロい顔に変わる。

思わず心臓が跳ね上がって、何かわからないけど、もう恐ろしいレベル。

反射的に手を引き抜こうとしてみたけど、やっぱりシノはそれを許してくれない。


…どうして…!


やばい気がする。
限りなくやばい気がする。
どうにかしないと、やばい。

俺は何にも触れないように手を最大限に離しながら、シノから出来るだけ距離離すように体を反らす。

指先はまださっきの感覚が鮮明に残っている。

何かに触れた。
中指の先が軽く、触れた。
掠る、ように、ちょんっと。

いや、何かなんて俺が一番わかってるんだけど。


「えっち、触ったな?俺の乳首」

「触らせたんじゃないですか!!」

「触ったんだろ?スケベー」

「もう、マジでやめて…」

「なになに、顔真っ赤になってんぞ?」

「本気で、マジで、」

「もっと触れよほら」

「う、…っわ…!」


ニヤニヤと俺の顔を覗き込んだシノは、そのまま反対の手で俺の手を、それこそ胸に押し付けてきた。


ギュッと手を押し付けられたせいで、シノの平らな胸を全体で感じてしまう。

その胸は明らかに男の胸で、女の要素なんて全く感じないはずなのに、ドクン、ドクンと心臓の音を感じるたびに何故か、俺の背中はじっとりと濡れてくる。

そして中心にあるのはさっきは、少ししか分からなかったツンっと勃ったソレ。


思わず、思う。


どうして俺は、大好きなバンドの一番大好きなメンバーの…胸を触ってるんだ。