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醤油ラーメンをずるずると吸いながら、隼也を見る。
一体どう言った了見なのか、隼也はなに食わぬ顔をして俺の頼んだとんこつラーメンを啜っていた。

さっき届いていたのに気づいたメールは、志乃さんからのだった。
俺もキャバクラに行った事ない分、営業メールというものをわかってないんだけど、志乃さんの営業メールは明らかにたどたどしいものだった。

『お疲れ様。仕事終わったか?餃子か中華楽しみにしてるぜ』

そんな短文。
随分こってりしたものを食べたがるんだな、と改めて思う。
男ならガッツリだろ!と思ってるんだろうか。


「その、女優さんってどんな人なんすか」

「……ううん、綺麗な人だよ」

「そりゃそうでしょうね、元女優っすもん」

「確かにね……」


元芸能人という点ではそういうことも言えるかもしれない。
志乃さんが人気になったのは、容姿がそこそこいいっていうのも理由だった気がする。
近くで見れば見るほど、確かにかっこよかった。
美人で、整ってた。


「……俺のことばっか聞くけど、隼也はどうなんだよ。彼女とかいるんだろ」

「俺?居ませんよ」

「またまた、そういう嘘はいらないから」

「嘘じゃないです」


隼也は、なんとも思ってないような顔で俺を見つめる。
そして、レンゲでくるくるとスープを混ぜると、そのままスープを啜った。