1 醤油ラーメンをずるずると吸いながら、隼也を見る。 一体どう言った了見なのか、隼也はなに食わぬ顔をして俺の頼んだとんこつラーメンを啜っていた。 さっき届いていたのに気づいたメールは、志乃さんからのだった。 俺もキャバクラに行った事ない分、営業メールというものをわかってないんだけど、志乃さんの営業メールは明らかにたどたどしいものだった。 『お疲れ様。仕事終わったか?餃子か中華楽しみにしてるぜ』 そんな短文。 随分こってりしたものを食べたがるんだな、と改めて思う。 男ならガッツリだろ!と思ってるんだろうか。 「その、女優さんってどんな人なんすか」 「……ううん、綺麗な人だよ」 「そりゃそうでしょうね、元女優っすもん」 「確かにね……」 元芸能人という点ではそういうことも言えるかもしれない。 志乃さんが人気になったのは、容姿がそこそこいいっていうのも理由だった気がする。 近くで見れば見るほど、確かにかっこよかった。 美人で、整ってた。 「……俺のことばっか聞くけど、隼也はどうなんだよ。彼女とかいるんだろ」 「俺?居ませんよ」 「またまた、そういう嘘はいらないから」 「嘘じゃないです」 隼也は、なんとも思ってないような顔で俺を見つめる。 そして、レンゲでくるくるとスープを混ぜると、そのままスープを啜った。 |