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白い皿の上に乗っかる六つの餃子。
黄金色の焼き色が満遍なくついた羽根と、ふっくらつやつやとしている皮。
すけている具も美味しそうに見える。
ふわふわと登っていく湯気が、一層餃子の魅力を増大させている気がする。

美味しそうだ。


「食べなよ。」

「え?早川さん食べたいって言ってたじゃないっすか、先どうぞ」

「……そうだな。いただきます。」


ひとつ箸で切り取って、早川さんが口に入れる。
少し熱そうにしながら、咀嚼する姿を俺は眺めていた。
おいしいかな。
美味しくなかったら、なんとなく、申し訳ない。


「ん!美味しいよ!食べなよ!」

「ほんとっすか!よかった!」


顔を輝かせた早川さん。
それを見て俺も嬉しくなる。
よかったよかった。
俺も箸で餃子をひとつ切り取って、タレにつけて、それから口の中に運ぶ。
ジュワッと肉汁が溢れてきて、舌がやけどしそうに熱いけど、タレとタネが合わさって絶妙な美味しさになる。


「美味しい!」

「だろ!」


早川さんと同じものが美味しいことが、なんとなく嬉しくて、頷く。
よかったよかった。


「ここなら良さそうだ。」

「え?」

「あぁ、実は知り合いの人が餃子を食べたいっていっててね。それで食べたことないところに連れていくのは申し訳なくて一度自分で行っておこうと思ったんだ。」

「……。」


お手拭きで手を拭ってからスマホを取り出した早川さん。


「今日ちょうどいい機会かなっておもってさ。」