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タクシーを拾って、住所を伝えるとそのまま走ってくれる。
少しだけ街から離れたそこは、人が少なく少しだけ閑散としていた。
いつも行っている街ではなく、こういう静かなところもたまにはいいかもしれない。

隣に座っている早川さんを見てみたら、早川さんは何も言わずに窓の外を見ていた。
そしてたまに、スマホの画面を見たりしていた。


「着きましたよ」

「ありがとうございます」

「あ、カードで」


複雑そうな顔をする早川さんに、気にする必要ないのにと思う。


「タク代……」

「よく考えてくださいよ早川さん。俺たち親戚でしょ。別に赤の他人なわけじゃないんだからいいんじゃないすか?しかも俺の家が家だし」

「……プライドの話だよ」

「……払います?」

「いいよ……」


近頃の流行りの仕様なのかもしれない。
木が基調の外装。
俺たちはそのままそこに入った。

内装は黒が基調で、立ちこもる湯気とスープの匂いが食欲をそそってくる。


「何名様でしょうか?」

「二人です」

「いまテーブルしか空いていないのでテーブル席へのご案内となりますが、それでもよろしいでしょうか?」

「全然いいです」

「ありがとうございます。御案内します。」


お客さんはいろんな人がいる。
基本的に少し狭いようで、カウンターも7席ほど、テーブルに至っては二つしかない。


「雰囲気いいな。」

「そうっすね。気に入ったっすか?」

「うん、隼也にしてはいいセンスだと思う」

「褒められてる気あんまりしないのはなんでっすかねー……」


そのまま案内された席で、餃子とラーメン。
俺は醤油、早川さんは豚骨を頼んだ。