6 タクシーを拾って、住所を伝えるとそのまま走ってくれる。 少しだけ街から離れたそこは、人が少なく少しだけ閑散としていた。 いつも行っている街ではなく、こういう静かなところもたまにはいいかもしれない。 隣に座っている早川さんを見てみたら、早川さんは何も言わずに窓の外を見ていた。 そしてたまに、スマホの画面を見たりしていた。 「着きましたよ」 「ありがとうございます」 「あ、カードで」 複雑そうな顔をする早川さんに、気にする必要ないのにと思う。 「タク代……」 「よく考えてくださいよ早川さん。俺たち親戚でしょ。別に赤の他人なわけじゃないんだからいいんじゃないすか?しかも俺の家が家だし」 「……プライドの話だよ」 「……払います?」 「いいよ……」 近頃の流行りの仕様なのかもしれない。 木が基調の外装。 俺たちはそのままそこに入った。 内装は黒が基調で、立ちこもる湯気とスープの匂いが食欲をそそってくる。 「何名様でしょうか?」 「二人です」 「いまテーブルしか空いていないのでテーブル席へのご案内となりますが、それでもよろしいでしょうか?」 「全然いいです」 「ありがとうございます。御案内します。」 お客さんはいろんな人がいる。 基本的に少し狭いようで、カウンターも7席ほど、テーブルに至っては二つしかない。 「雰囲気いいな。」 「そうっすね。気に入ったっすか?」 「うん、隼也にしてはいいセンスだと思う」 「褒められてる気あんまりしないのはなんでっすかねー……」 そのまま案内された席で、餃子とラーメン。 俺は醤油、早川さんは豚骨を頼んだ。 |