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『ぐちゃぐちゃのやつ』を並べながら俺はまたあくびをした。
今日はどうしようかな。
このまま出掛けてもいいし、帰ってもいい。
かといって帰ってすることもないし。


「隼也」

「はい?」


早川さんが終わるごろに合わせるように、ゆっくりゆっくり書類を片付けていた。
多分これは、印刷して整えずにそのままおいて、そして落としてそのまま拾ってまた置いたんだろう。
バラバラだ。


「美味しいラーメン屋さん知ってる?」

「ラーメン屋?」

「そう、ラーメン屋。できたら餃子が美味しいところがいいなぁ。」

「餃子が美味しい?食べたいんすか?」

「あー……まぁ」


ラーメン屋?餃子?
俺が知ってるとこはあるにはあるけど。


「今?」

「いま、かなぁ」

「連れてってあげましょうか?麺類全部取り揃えてるとこあるんすよ。多分餃子もあったと思うっすよ。天ぷらとか」

「……待って待って、お前に聞いたのが勘違いだった。お前金持ちだったな……」

「どういうことっすか」

「俺が持てるとこがいいんだよ。お前を連れてっていってあげようと思って」


思わず書類から目を離して、早川さんを見る。
早川さんは、パソコンの画面を見ながら、作業を続けていた。


「え?!」

「まぁ、たまにはな」

「……ちょ、と。トイレ行ってくるっすね、俺」

「え、あぁ。うん。」


なんか心臓が、ドキドキとうるさかった。