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シノさんのメアドをゲットした。
今時ラインかなって思ったのに、あの人ガラケーだった。

まぁ、そうだよなぁ。
ケータイ使わなそうだし。

とりあえず餃子が食べたいって言ってたから、餃子だよなー。
ラーメン屋?
俺美味しいラーメン屋知ってたっけ。

そんなことを思いながら、社員食堂で俺はラーメンを啜っていた。
ついでにいうと、ここに餃子もある。
いや、さすがにそれは。
それはないわ俺。

残りの一口をずるずると吸いきって、そのまま返却口まで持っていく。
時刻はもう1:30を過ぎていた。

隼也が出勤する時間だ。

俺は腕時計をスーツで隠すと、落ち込む気持ちを隠せずに溜息を吐いた。

残業ルート。


まぁ、別に帰ってやることもないからいいんだけど、早く帰れる物なら帰れるに越したことはないしなぁ。


カーペットが敷いてある廊下を歩きながら、自分の部署まで歩く。
空調の効いている社内はどこにいても涼しい。

これの、この会社のトップはあの隼也のお兄さんだっていうからまた驚きだ。

隼也をみていると、俺の姉は案外普通の人と結婚したんじゃないかと思うけど、会社を見る度、あの結婚式を思い出す度に、違うと思い知らされる。

俺は一つの部屋のドアの前に立って、大きく深呼吸をする。


あいつに翻弄されずに仕事をしたらいいんだ、そういうことだ。
よし、行くか。