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ごく、ごく、と言う音が聞こえる度に、動く喉仏。
思わず釘付けになっていれば、グラスを持っていないシノの手が俺の手に伸びた。

冷たくて思わずびっくりしたら、その手をギュッと握りこまれた。

……なに?と思うより先にシノの手が器用に動く。

そして、人差し指以外握らされる格好を取らされたかと思うとそのままその指はシノの喉仏に触れさせられた。

ごく、と飲み込む度に動くソレ。

人のに触ったのは初めてだけど、自分にもあるとは思えない程、未知のものに感じた。

しかも、なぜか、イケナイものに触れているようなそんな気分になる。

だって、喉。
歌手の命。

それに、さっきまであんな色気を放っていた場所に、今触っている。

そう思うと、背徳感にほんの少しの性的興奮が混ざって、心臓が大きな音を立て始めた。


「お前今いくつ?」

「23です……」

「ふぅん……?俺の喉仏すき?」

「……っ!」


ぐぐぐっと、シノの手に力が込められて、喉仏を自分の意志とは関係なく押す格好になる。
しゃべる度にビリビリと響く感覚は、どこか気持ちよかったのに、急にそんなことをするから、手が引っ込みそうになる。

けど、シノの手はそれを許さない。


「っげほ、」


シノは苦しくなったのかひとつ咳をすると、やっとその手を緩めた。

俺が思わず安心したのも束の間、今度は俺の手を開かせたシノはそのままその手を下へと滑らさせてきた。