2 「何時に起床されますか」 「いいよ。自分で起きる。ありがとう」 部屋まで着いてきてくれた使用人に、別れをいってそのまま部屋に入る。 無駄に広い部屋だ。 俺はあまり家に居ないから比較的片付いている。 まぁ、散らかしても部屋から出れば綺麗に片付けてあるんだけど。 持っていた荷物をポンっと投げて、無駄に広いベッドの上にダイブした。 今日は確か全休だったっけ? じゃあ起きなくてもいいか、確かバイトは昼からだったし。 バイトって言っても趣味みたいなもの。 俺が頼み込んでやっとさせてもらえてるし、仕事場は人員足りてるし。 さすがに清掃係はさせられないから、(重役さんが気を使うからやめて欲しいと言ったらしい)少しだけ内部に関わる仕事。 仕事をちょっとでも覚えたら、少しは兄や父さんに相手をしてもらえるかと思ったけど、そんなに世間は甘くないらしい。 だって仕事すら教えてもらえないんだから。 いつまでも俺を取り巻く人は、俺が小さいまま成長してないと思ってる。 だって仕事の話をするときはいつも、『向こうに美味しそうな豚があったから食べておいでよ』なんて言って俺を追い払う。 もう19になりそうだっていうのにさ。 美味しそうな豚って……。 多分大学卒業したら仕事を教えてもらえるんだろうなぁと思う。 教えてもらうといってもしれてると思うけど。 あくまで主役は兄。 だけど、社会人になったら仕事をするのは義務だから。 さすがに。働かざるもの食うべからずっていうのかな。 でも、俺がしたくないっていったら多分俺は何もしなくてもいいんだろうなぁ。 俺が居たって居なくたって、あの会社には何も代わりはないし、この家も何も変わらないし。 兄さえしっかりしてればあくまで俺はオプションだからなー。 そのまま天井を見つめて一息。 今更考えたって何も思うことはない。 さみしいなって少し思うだけ。 少し眠くてあくびをしながら、ごろりと寝返りを打った。 |