3 金髪もピアスも、見てもらいたくてしてる。 わざわざ人見知りの俺が、馴れ馴れしく絡むのも見て欲しくてしてる。 俺を見て欲しい。 構ってほしい。 兄だけじゃなくて、俺も。 パーティに行っても、俺を見てくれるのは最初だけ。 この部屋綺麗だね!と一緒の感覚で俺に触れる。 そして少し話したらみんな兄の方に。 会社の話。 婚約の話。 いいなぁ。 俺は会社の話なんかできない。 何も任されてないから。 将来は課長か部長ぐらいにはさせてくれそうだけど、それは所詮一般人でもできること。 みんな俺には興味無い。 兄は小さい頃から、会社のことを教えこまれたらしいけど、俺は何も教えてもらってない。 悔しくてたまらないから、なにかしたいと言ったらバイトにされた。 コピーをしたり、書類の誤字チェックをしたり、掃除をしたり。 そこらへんの誰でもできるような仕事。 明日俺がぽつんと居なくなっても、この会社は家族は何も変わらないんだと思うと、無性に虚しくて、もう何もかも壊してしまいたくなる。 兄はいつも父さんと母さんと一緒に行動するのに、俺はいつも家で留守番。 広い家の中で、琴音さんと遊んだりした。 なかなか友達も呼べないし、なにより身元がバレるとめんどくさいことは幼い頃から知っていたからあまり身元を明かしている人とは遊ぶことが無かった。 退屈しのぎに、俺が生きていると感じるために最近始めた夜遊びも、なんだか家にいる時間をさらに虚しくさせるようなものになっている気がする。 「隼也くんもう帰るの?」 「うん、帰ろうかな」 「えー!もう帰っちゃうの?帰らないでよさみしい〜!」 「ほかにも行こっかなーって。ここの系列?」 「えー!私もついていこっかなぁ」 鼻を擽る香水。 女の子はみんな仕事だから俺をちやほやしてくれるけど、どうも俺は女の子が好きじゃない。 ぼんやりと思い出したのは、他でもない一人の男だった。 |