2 「おー!きたきた隼也ー!」 「おーう!集まってんなー?」 年は俺と近い人から30手前まで。 素性を知らないネットで集めた人と適当に会って、夜の町を徘徊する。 それは俺の日課であり日常だ。 金は全て俺持ち。 でも全然痛くも痒くもないから、続けてしまっている。 金だけならいくらでもある。 といっても所詮俺の金ではないのだけど。 そのお金も自由に使っていいと言われていることが、また腹立たしい。 「今日もキャバ?」 「おー、お前が気に入ってたあの子にピンドン下ろしてやれば?」 「え?!まじ?!いいのー?!」 「いいよー。」 ゆりあちゃんかわいいんだよなー! なんて言っているのを片耳に、俺はネオンが輝く夜の街を足を引きずりながら歩く。 特に楽しくはない。 のだけど、暇つぶしにはなるかと思って。 小さい頃から他にはない、いい環境で育ってきたと思う。 したいことを好きなだけできて、何をしても怒られない。 幼い頃はそれで良かったんだけど、年をとるにつれ、そうじゃなくなった。 何をしても、何を頑張っても手応えがない。 確かに俺は次男で、適当に生きていればいい男なんだけど、それじゃあなんのために生きているか分からない。 『そんなに頑張らなくてもいいのよ。あなたは生きているだけで嬉しいわ。』 なんて、俺は人形か。 中学生の時、大学受験の勉強を必死でしている兄の真似をして、学校で一番の成績をとった時に母に言われた言葉。 褒めてくれることもなく、ただそれだけ。 当たり前だ、望まれてないんだから。 多分俺は居なくてもいい。 居ても居なくても変わらない。 兄は何かをする度に怒られたり、褒められたりして、羨ましかった。 俺みたいに人形のように可愛がられるだけじゃなくて、ちゃんとしっかりと見てもらえるのが羨ましかった。 「隼也くん、聞いてる?」 「うん、聞いてる。今日も可愛いね。」 「あはは!!やだぁ。ありがとうっ」 パンツが見えそうなほど短いスカートを見て、ため息をつきたいのを我慢する。 ほら、俺はこんなことをしても怒られない。 きっとここで、彼女を襲おうとして警察を呼ばれたって、うちは金で揉み消してしまうから、俺は何も怒られない。 せいぜい琴音さんがチクチクと小言を言ってくるだけだ。 |