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「おー!きたきた隼也ー!」

「おーう!集まってんなー?」


年は俺と近い人から30手前まで。
素性を知らないネットで集めた人と適当に会って、夜の町を徘徊する。
それは俺の日課であり日常だ。

金は全て俺持ち。
でも全然痛くも痒くもないから、続けてしまっている。
金だけならいくらでもある。
といっても所詮俺の金ではないのだけど。

そのお金も自由に使っていいと言われていることが、また腹立たしい。


「今日もキャバ?」

「おー、お前が気に入ってたあの子にピンドン下ろしてやれば?」

「え?!まじ?!いいのー?!」

「いいよー。」


ゆりあちゃんかわいいんだよなー!
なんて言っているのを片耳に、俺はネオンが輝く夜の街を足を引きずりながら歩く。
特に楽しくはない。
のだけど、暇つぶしにはなるかと思って。

小さい頃から他にはない、いい環境で育ってきたと思う。
したいことを好きなだけできて、何をしても怒られない。
幼い頃はそれで良かったんだけど、年をとるにつれ、そうじゃなくなった。

何をしても、何を頑張っても手応えがない。
確かに俺は次男で、適当に生きていればいい男なんだけど、それじゃあなんのために生きているか分からない。


『そんなに頑張らなくてもいいのよ。あなたは生きているだけで嬉しいわ。』

なんて、俺は人形か。
中学生の時、大学受験の勉強を必死でしている兄の真似をして、学校で一番の成績をとった時に母に言われた言葉。

褒めてくれることもなく、ただそれだけ。

当たり前だ、望まれてないんだから。

多分俺は居なくてもいい。
居ても居なくても変わらない。

兄は何かをする度に怒られたり、褒められたりして、羨ましかった。
俺みたいに人形のように可愛がられるだけじゃなくて、ちゃんとしっかりと見てもらえるのが羨ましかった。


「隼也くん、聞いてる?」

「うん、聞いてる。今日も可愛いね。」

「あはは!!やだぁ。ありがとうっ」


パンツが見えそうなほど短いスカートを見て、ため息をつきたいのを我慢する。
ほら、俺はこんなことをしても怒られない。
きっとここで、彼女を襲おうとして警察を呼ばれたって、うちは金で揉み消してしまうから、俺は何も怒られない。


せいぜい琴音さんがチクチクと小言を言ってくるだけだ。