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「は、志乃さん、ちょっと、強い」

「ん?」

「強い……」


熱くて、うん、かてぇ。
硬くなってる。


「ハル、俺慣らしてるから、早く。」

「え、あぁ、ほんとに?」


ハルのちんこから手を離して、そのままトランクスをずるっと下げた。
ほんとうに勃起する気配が無さそうなそれをみて、笑いそうになる。
やべえ、こいつはしゃぶられても勃起しそうにない。

どうやら物思いに耽りすぎたらしい。


「ほーんと。ハル、来いよ」


ハルがへにゃりと眉を下げて、俺を覗き込む。
大事にされる。
大事にされるってのはいいもんだ。
まだ必要ってことだから。
そうだ、今のハルにはきっと俺が要る。


「ハル、お前はさぁ俺にどうしてもらったら嬉しい?」


もっとお前の望む形になるよ俺は。
ほら、もっともっと盲目に俺を欲しがってくれ。
他なんて見ないでいい。
俺だけ俺だけ見てろ。


「はぁ……?どうしたんです?志乃さん。」


自分のスタイルを貫くだけじゃあ愛されない。
相手の望むように変えていかなきゃダメだ。
ありのままを愛してもらうなんて無理な話だ。

俺が好きなのは、ロックだ。
シャウトして、でっけーインパクト。
俺の歌を、声を、全てを刻みつけるように。

でもそれじゃあダメだ。
万人受けなんてしない。

興味を引いてそれで終わり。
みんなすぐに飽きる。
それじゃ、それじゃダメなんだよ。

なぁ、俺そんなもんじゃねぇ。
もっともっと聞いてくれ。
そんだけの価値じゃねぇんだよ。
なぁ。


「キスしようぜハル。」