2 「なんなら触ってもいいぜ。遠慮すんなよ。そういう場所だろ?」 ほら、と言って白のニットを捲り上げるシノ。 俺はそれを視界の端で捉えながら首を振る。 良く分からないけど頭の中がパニックになってきていた。 童貞じゃないんだから……! そう思うのに頭の中は真っ白になってきていて、俺は必死にシノの方を向かないようにしていた。 「おいおい、頑なだな。ぶっちゃけ興味あるだろ?な?」 カランと音がして、思わずそっちを見れば、残っていたハイボールをシノが煽ったところだった。 しかし、喉仏は動かない。 その代わりにシノは四つん這いになって俺の方によってきた。 そして、俺の顎を掴む。 怒っているのかと思えば、そのままシノの口元は綺麗な弧を描く。 ちょ、まって…… 思わずそれに見とれていれば、シノの顔はどんどん近くなってくる。 近づく度に良く見える長めのまつげ、筋の通った鼻、……あ。 唇、が。 |