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「なんなら触ってもいいぜ。遠慮すんなよ。そういう場所だろ?」


ほら、と言って白のニットを捲り上げるシノ。
俺はそれを視界の端で捉えながら首を振る。

良く分からないけど頭の中がパニックになってきていた。

童貞じゃないんだから……!
そう思うのに頭の中は真っ白になってきていて、俺は必死にシノの方を向かないようにしていた。


「おいおい、頑なだな。ぶっちゃけ興味あるだろ?な?」


カランと音がして、思わずそっちを見れば、残っていたハイボールをシノが煽ったところだった。
しかし、喉仏は動かない。
その代わりにシノは四つん這いになって俺の方によってきた。

そして、俺の顎を掴む。
怒っているのかと思えば、そのままシノの口元は綺麗な弧を描く。

ちょ、まって……

思わずそれに見とれていれば、シノの顔はどんどん近くなってくる。

近づく度に良く見える長めのまつげ、筋の通った鼻、……あ。

唇、が。