鳥籠を願う

※ドレスローザ編勝者決定後

「若」
「よォ、その声はなまえか?」
「若が負けるところ、初めて見たかも」
「フッフッフ。そうか、そりゃァ良いモンみたな」
「ねぇ、若。前に私若に“私のことオモチャにして”って言ったの覚えてる?」
「あったな、そんなことも」
「そしたら若、私じゃなく私の父親をオモチャにしたんだよね」
「オモチャになるべき人間はアイツの方だった」
「……ねえ若。きっとこのドレスローザの住人のほとんどは、今日という日を喜んでるんだと思う」
「フッフッフ。仮初の幸せなんざ何が面白ェんだか」
「面白かったよ、私は」
「……」
「偽でも、ドンキホーテファミリーに入れてもらえた10年間はずっと面白かった」
「テメェも大概な物好きだな」
「暴力まみれの日々なんかより、ずっと大好きだった」
「……そうか」
「私、まだ若と一緒に居たい」
「鳥籠は消えた。お前はもう自由だ」
「……自由なんて要らない。鳥籠の中に居たい」
「おれは、ちょっくら地獄に行ってくる」
「じゃあ私も行く」
「フッフ。おれが戻る籠を用意しててくれ、なまえ」
「……その時は若のこと、“ドフィ”って呼んでも良い?」
「フッフッフッ。好きにしろ」
「約束して。絶対、戻って来て」
「あァ。約束してやるさ」
「じゃあ……“行ってらっしゃい”。若」
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