残酷なモーニングコール



朝。

目覚まし時計のベルがけたたましく鳴り響き、僕は目を開けた。

「……ぅ…………ん、」

もそもそとベッドから這い出ると、携帯電話が着信を知らせる。レン君からだ。

「もしゅもし……?」

あ、噛んじゃった……。

寝起きだから、噛んだことに対した抵抗はなく、ぼーっとレン君からの返事を待つ。

『おはよう、KAITO』

無感情なレン君の声。

鏡音レン――僕の、恋人。

今日もカッコいい声だなあ。思いながら続きを待つ。

『あのさ……』

なんか深刻なトーンだな、なんて呑気に考えた。

あぁねむ――


『別れよう』


――い、な……?

「…………え?」

『聞こえなかった?別れよう、って言ったんだよ』

無感情な冷たい声、嘲るような言葉、
あぁこれは夢だ夢に決まってる、
だってレン君は優しくて、
たまに意地悪だけどでもいつだって

『じゃあね』

優しく抱きしめてくれ、て――

――うそ


ツー、ツー、ツー……


通話が途切れる。

それは、僕の眠気を覚ますモーニングコールにしては、あまりに冷たすぎた。





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