ひとり、惑い迷う


ただ呆然とディスプレイを眺める。現実味なんて全くなくて、怒りも悲しみも湧いてこない。

「…………なんで?」

口から言葉が勝手に滑りでた。

僕、何か悪いことしたかな。

――ううん、そもそも、僕とレン君が付き合ってることがおかしかったんだ。

当たり前だよね……気持ち悪いよね。

男どうしで。

「……………………っ、」

でも――僕は、

「っ、う…………」

たとえ間違いだとしても、

「………ぅあ……」

レン君が好きで。両思いだと知って、幸せで一杯だったから。

「やだよお…………なんでぇ……っ」

堪えきれなくなって、涙が頬を伝った。心の中が悲しみで埋め尽くされて、切なくて苦しくて、嗚咽と涙がとめどなく溢れ出す。

ふと、気付く。今日は四月一日――エイプリルフールだ。

まさかとは思うけど……嘘?

わからない。

わからないよ……レン君は、何を考えているの?





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