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俺のクラスは霧崎の双子と同じ、一年B組だ。授業の内容や進度が不安だったが、普通の授業でほっとする。
物理の授業を受けていると、突然寝夜くんが挙手した。
「すみません先生、具合が悪いので保健室に行ってきます」
凛々しく言い放った寝夜くん。教室の空気が凍った。
――絶対に嘘だ。
恐らくクラス中が気付いたが、寝夜くんの妙な迫力に気圧されて、誰も何も言えなかった。
先生が許可を出すと、寝夜くんはしっかりとした足取りで歩き出す。演技をする気もないのか。
授業が終わったあと、手作りだと思われるおにぎりを喰夜に渡していたから、きっと調理室でも行ってきたのだろう。……寝夜くん……。
そして、昼休みになって。
「じゃあハルト、ガッコ見て回るか?案内してやんよ」
「ぼくもついてくよ」
「あー……じゃあお願いする。さんきゅ」
俺のまわりに群がる男子たちを掻き分け、喰夜と寝夜くんが声をかけてくれた。質問責めにあって疲れていた俺には有り難すぎる申し出だ。
「ここが食堂。朝晩と違って昼は割と自由だから、ここで買って別んとこで食ってもいいし、モチロンここで食ってもいい。食わなくてもいいんだぜ」
「へぇ……」
「あ、でも、教室で食べちゃだめなんだよ。談話室とかで食べるの」
「教室だめなのか!」
机を寄せて弁当を食う――そんな青春めいたことが出来ないのか。流石は全寮制男子校。
「まーとりあえず飯食おうぜ!」
「そうだね……。ご飯も食べずに学校見学なんて、取らぬ狸の皮算用だよ」
……腹が減っては戦は出来ぬ、じゃないのか?どうも寝夜くんの日本語は若干おかしい気がする。
「――ん?」
食堂に足を踏み入れた喰夜が首を傾げた。並んだ寝夜くんも同じ反応をする。
二人の後ろから中を覗き込む。何故か、食堂の左側に人だかりができていた。
「なんだあれ?」
「行ってみようよ……何かあったのかな?」
「おー!?なんかわくわくしてきたぜっ!」
喰夜が目をきらきらさせて駆け出した。元気だなあ。
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