愛しているよ


現在、この家には1人の人間と5人のVOCALOIDが住んでいる。一人の人間とはもちろんマスターである。

5人のVOCALOIDとは、MEIKO、KAITO、神威がくぽ、鏡音レンである。レンの片割れであるところのリンは出張しているのだ。

「リンちゃんは売れっ子だからねぇ」

「だからって、何でうちのリンがイベントなんかに……」

「マスターの調教がいいんだよ」

「リンだけ、ね」

「め、めーちゃん……」

KAITOとMEIKOがそんな会話をしている時、レンとがくぽはマスターに詰め寄っていた。

「マスター、お願い!」

「リン殿がいなくて寂しいのは分かるでござるが……」

コーラスでしか参加させてもらえない自分……は、どうでもいい。

問題はKAITOだ!

KAITOに歌わせろ!

ということで、リンがいないのをこれ幸いと講義しにきたわけだ。

「あー、うるせぇなぁ」

マスターが溜め息をついて、どこか投げやりに言った。

「お前らがKAITOを歌わせれば?」

「……え?」

「歌わせて、いいでござるか?」

「あー、好きにしろ。リン弄ったら殺すぞ?」

物騒な台詞は聞かなかったことにして、レンとがくぽは狂喜してKAITOへ駆けていった。






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