やっと、KAITOさんにこうすることができた。

KAITOさんの出待ちやストーカーは、キヨテルさんが念入りに取り払っているから――彼は知らないんだろう。自分が、一部のファンにどう思われているのか。

「……や、ぁ……」

綺麗な蒼い瞳に涙をため、恐怖に震えるKAITOさん。――あぁ、たまらない――!

「そうして怯える貴方は、とても魅力的ですよ……」

「…………!」

外気に晒された白い胸板に手を這わせると、KAITOさんはびくびくと小刻みに震える。その反応がたまらなく愛しくて、私は思い切り爪をたてた。

「いたっ……」

じわ、と白い肌に紅が滲む。そのコントラストが綺麗で、私は更に深く爪を食い込ませていった。

「……ぃ、た……っひ、」

「…………痛いですか?KAITOさん」

「い、痛い、です……っ、やめてください……!」

KAITOさんは涙混じりにそう訴える。……ぞくぞくする。

私は手を離し、傷に口づけた。

「――っ!」

舌を這わせると、KAITOさんの体が痛みに悶える。無理矢理それを押さえ込んで、しばらく微かな血の味を堪能した。

「……さて」

ぐったりとしているKAITOさんを見つめ、思わず頬を緩める。

ずっと。そう、ずっと。

初めてKAITOさんの声を聞いたときから、望んでいたこと。

「悦い声で鳴いてくださいね……?」

「…………っ、」

そっと、胸板に手を這わせる。室内とはいえ、季節は冬だ。寒いのだろう、白く美しい身体はひんやりと冷たかった。

KAITOさんは唇を噛みしめて顔を背けている。そんな仕草も愛らしい。

胸の飾りに優しく触れると、KAITOさんは初めて反応した。僅かな変化ではあったが――感じた?

「……KAITOさん、今……感じました?」

「ち、ちがっ――んっ……」

「……ふふっ。手錠をかけられて、好きでもない男に触られて、そんな可愛い声を出してるんですね……あのKAITOさんが」

「やっ……、言わないで……!」

いやいやをするように首を振るKAITOさん。透明な涙が頬を伝う。

舌を出してその涙を舐めると、KAITOさんが驚いた顔でこちらを見たので、至近距離で目があった。

……本当に澄んだ瞳だ。いったいどう育てばこんな瞳のままでいられるのだろう。






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